2024年12月10日
労務・人事ニュース
令和6年10月 熊本県の有効求人倍率が1.25倍に上昇!製造業の求人が24%増加
一般職業紹介状況 (令和6年10月分)(熊本労働局)
令和6年10月の熊本県における労働市場の状況は、全国の傾向と共通する部分が多く見られる一方で、地域特有の課題も浮き彫りとなっています。同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍と、前月から0.02ポイントの微増を記録しました。有効求人数は35,645人、前月比1.7%増加し、有効求職者数も28,607人、前月比0.6%増加しました。この結果、求職者1人当たりに対する求人数は改善傾向を維持しています。
正社員の有効求人倍率は1.11倍で前年同月と同水準となり、特に製造業や運輸業・郵便業、建設業が求人数増加を牽引しています。これらの産業では、それぞれ前年同月比で24.0%、40.2%、9.4%増加しました。一方で、医療・福祉やサービス業(他に分類されないもの)ではそれぞれ2.7%、6.0%の減少が見られ、特定分野の労働需要の減退が明らかです。
新規求職申込件数は前年同月比5.4%増の5,702件で、これに伴い新規求人数も13,033件と4.3%増加しています。特に一般フルタイム求人は8.4%増加し、堅調な雇用需要が確認されました。ただし、新規パートタイム求人は2.4%減少し、労働市場の二極化が進行していることを示唆しています。
また、就職件数は前年同月比1.4%減の1,769件で、5か月連続の減少となりました。これにより、新規求職者に対する就職率は31.0%と前年同月を2.2ポイント下回りました。この傾向は、自己都合離職者数が0.8%減少している一方で、事業主都合離職者が22.8%増加していることと関連している可能性があります。
主要産業別の動向では、建設業や製造業、運輸業が著しい成長を遂げています。例えば、製造業では特に電子部品・デバイス製造分野が81.1%増加し、地域産業の活発化が見られます。一方、医療・福祉分野や小売業では需要の減退が見られ、特に高齢化社会を背景とした医療・福祉分野の減少は注視すべき課題といえるでしょう。
さらに、新規求人数と新規求職申込件数の増加にも関わらず、紹介件数や就職件数が減少傾向にあることは、企業側の採用意欲が高まる一方で、マッチング効率の低下が問題として浮上しています。これを受けて、地域全体の雇用の質を向上させるためには、ハローワークや求人情報サイトの活用をさらに推進し、オンラインでの自主応募やマイページ機能の拡充を継続する必要があります。
総じて、熊本県における労働市場は回復基調にありますが、一部の産業で見られる雇用機会の偏りや、就職率の低迷は依然として解決が求められる課題です。企業の採用担当者は、こうした地域特性を考慮し、柔軟な採用戦略を展開することが求められます。
⇒ 詳しくは熊本労働局のWEBサイトへ