2024年12月10日
労務・人事ニュース
令和6年10月 秋田県の求人倍率、全国平均を下回るも建設業は前年比18.8%増加
秋田県内の雇用情勢(令和6年10月)(秋田労働局)
秋田県内の雇用情勢について、令和6年10月現在の状況を分析すると、地域別や産業別の動向からは、複雑な課題と一定の改善の兆しが見えてきます。県全体の有効求人倍率は1.24倍と、前月比で若干の低下を見せたものの、全国平均の1.25倍に近い水準を保っています。この数値は、秋田が他の地域と比較しても一定の求人の需要を維持していることを示しています。しかし、地域内での細かい分析では、中央地域や県北地域の有効求人倍率が1.23倍や1.37倍とやや低調である一方で、県南地域では1.10倍と、より厳しい状況が浮き彫りになっています。
また、雇用形態別では、正社員の有効求人倍率が1.20倍と前年同月と同水準を維持していることが分かりました。これに対して新規求人倍率は1.94倍で、前月比で0.14ポイント増加しており、企業側からの求人ニーズが上昇している兆候が見られます。さらに、新規求人数は7,832人で、前年同月比3.9%減少しているものの、月間有効求人数19,897人の内訳を見ると、建設業や宿泊業・飲食サービス業の増加が目立ちます。特に建設業では前年比18.8%増加しており、地域内のインフラ開発や建築プロジェクトが活発化していることを反映しているようです。
一方で、製造業や卸売業・小売業、医療・福祉分野では求人数が前年同月比で減少しており、特に医療・福祉分野では13.4%の減少が見られました。これは、全国的な少子高齢化の影響や地方における労働人口の減少が影響していると考えられます。また、業務負担の増大や人材確保の難しさが、求人件数に影響を与えている可能性が示唆されます。
求職者側の動向を見ても、月間有効求職者数は15,065人で前年同月比0.4%減少しました。このうち、新規求職者数は3,625人で、前年同月比2.1%減少しています。特に事業主都合による離職者が前年比8.0%増加した点は、労働環境や経済状況の厳しさを物語っています。一方で自己都合による離職者数は4.0%減少しており、雇用の安定性が向上している部分も見受けられます。
年代別の分析では、24歳以下の若年層が新規求職者の8%を占める一方で、65歳以上の高齢者は17%を占めています。高齢者の求職者数が前年比でわずかに減少している一方で、若年層の減少幅はそれほど顕著ではありません。これは、高齢化社会の進展とともに、高齢者層の雇用維持が課題となっていることを示唆しています。
また、産業別の就職件数を見ると、医療・福祉分野やサービス業、建設業が主要な就職先となっています。特にサービス業では就職件数が前年比で増加しており、需要が安定している分野と考えられます。一方で製造業や運輸業、卸売業・小売業では減少傾向が続いており、地域経済の課題を浮き彫りにしています。
秋田県内での就職率を向上させるためには、地域ごとの特徴を活かした施策の導入が重要です。例えば、中央地域での求人倍率の向上には、ITや先進技術を活用した産業の誘致や、地元の学生向けインターンシップの強化が考えられます。一方で、県北や県南地域では農業や観光業を中心とした施策を展開することで、雇用の創出と地域経済の活性化が期待されます。
労働市場のデータを総合的に見ると、秋田県の雇用状況は持ち直しの兆しを見せる一方で、物価上昇や産業別の課題からくる厳しさも残っています。これを克服するためには、地域経済の特性を理解しつつ、地元企業との連携を強化し、労働環境の改善を図ることが求められます。また、長期的な視点での雇用政策を通じて、持続可能な労働市場を構築することが急務となっています。
⇒ 詳しくは秋田労働局のWEBサイトへ