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2024年12月13日

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令和6年10月 鹿児島県の求人倍率1.11倍を維持、業種別動向で見える雇用市場の変化

鹿児島労働局定例記者会見資料 令和6年11月分(鹿児島労働局)

鹿児島県の最新雇用統計によると、令和6年10月の有効求人倍率は1.11倍と、前月と同水準を維持しています。全国平均の1.25倍に比べると低い水準ではあるものの、九州地方内では大分県や宮崎県などに次いで7番目の順位に位置しています。この指標は、県内の求人が求職者数をわずかに上回る状況を反映しており、雇用市場の需要と供給のバランスを示しています。

注目すべきは、新規求人倍率が2.03倍と前月比0.15ポイント増加し、2か月ぶりに増加に転じたことです。これは、新規求人件数が前年同月比で5.2%増加したことによるもので、特に建設業や製造業、卸売業・小売業、宿泊業、飲食サービス業などが増加を牽引しています。一方で、運輸業・郵便業や医療・福祉分野ではわずかながら減少傾向が見られました。

さらに、新規求職申込件数は前年同月比で1.2%増加し、3か月ぶりの増加を記録しました。これは、雇用市場における活発な動きが反映された結果と考えられます。一方、有効求人数は前年同月比で20か月連続で減少しており、特に長期的な雇用契約を求める求人の減少が目立ちます。これにより、雇用市場における需給ギャップが依然として課題となっていることがわかります。

また、鹿児島県内では就業地別の有効求人倍率も1.22倍と、受理地別の数値と同水準を維持しています。これらの数値は、地域別の雇用需要と供給の分布に一定の安定性があることを示唆していますが、業種による求人のばらつきも課題として浮き彫りになっています。

新規求人件数の増加において、特に卸売業・小売業では22.6%の増加が確認されており、これは消費活動の活発化や物流の増加が要因と考えられます。宿泊業や飲食サービス業でも9.1%増加しており、観光業の回復や外食産業の需要増加が背景にあるとみられます。対照的に、運輸業・郵便業では3.4%の減少が見られ、物流の効率化や自動化の影響がある可能性が指摘されています。

雇用保険受給者数の推移も注目されます。令和6年10月時点では、新規求職申込件数に占める割合として、無業求職者が増加している一方、離職求職者は減少傾向にあります。これは、労働市場の流動性が一部で停滞している可能性を示唆しています。また、正社員の有効求人倍率は1.05倍で、前年同月比0.03ポイント減少しており、正社員雇用への需要が若干低下していることがわかります。

これらの統計データは、地域経済や産業構造の変化が雇用市場に与える影響を反映しています。鹿児島県内の雇用政策においては、業種ごとの需給バランスを細かく分析し、適切な支援を行うことが求められます。特に、医療や福祉、運輸業など減少傾向にある分野での労働力の確保や育成が重要です。また、求人倍率の改善を目指して、新規事業の誘致や地域経済の活性化を進める取り組みも不可欠といえるでしょう。

今回のデータは、物価上昇や経済環境の変化が雇用市場に与える影響を引き続き注視する必要性を強調しています。企業や行政は、このような統計を活用して、持続可能な雇用環境を構築するための方策を検討する必要があります。

⇒ 詳しくは鹿児島労働局のWEBサイトへ

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