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2025年1月21日

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令和6年11月の現金給与総額305,832円(前年比3.0%増)、採用戦略にどう活かすべきか?

毎月勤労統計調査 令和6年11月分結果速報(厚労省)

毎月勤労統計調査令和6年11月分の結果速報が発表され、日本の労働市場における重要な変化が明らかになりました。この調査は、雇用や賃金に関する重要な指標を提供するもので、企業の採用計画や人材戦略に直結する情報を含んでいます。最新のデータによれば、現金給与総額、所定内給与、特別給与の全ての項目でプラスの傾向が見られ、特にパートタイム労働者の時給が大幅に増加しました。

現金給与総額(名目賃金)は、従業員5人以上の事業所において、前年比3.0%増の305,832円を記録しました。規模30人以上の事業所ではさらに高く、前年比3.7%増の341,892円に達しています。この増加傾向は、それぞれ35ヵ月連続および45ヵ月連続でプラスを維持しており、安定した成長を示しています。一般労働者については、現金給与総額が392,121円と高水準を維持し、44ヵ月連続で増加。所定内給与も46ヵ月連続でプラスを記録しています。

特筆すべきは、パートタイム労働者の時間当たり給与(所定内給与)が前年比4.7%増の1,371円に達し、41ヵ月連続で増加している点です。この増加率は、パートタイム雇用市場における競争が激化している可能性を示唆しており、企業にとっての採用競争力確保が重要であることを浮き彫りにしています。

一方で、実質賃金指数(令和2年平均=100)は86.0と、0.3%の減少を記録しました。この減少傾向は4ヵ月連続で続いており、消費者物価指数の上昇(前年比3.4%増)が影響しています。特に、中小企業にとっては、労働者の購買力が低下する中で、賃金水準の引き上げが一層の課題となるでしょう。

賃金の構成要素に目を向けると、きまって支給される給与は285,741円と前年比2.6%増加し、所定内給与は265,082円で同2.7%の増加を記録しました。特別給与(賞与や一時金)は20,091円と、前年比7.9%増加しており、企業の業績向上や利益配分の積極化が背景にあると考えられます。これらの数字は、企業が労働者に対して報酬を増やす努力をしていることを反映しています。

この結果は、企業の採用戦略にも大きな影響を与えると考えられます。特に、新卒採用や中途採用市場では、給与の競争力が求職者の動向を左右する重要な要因となります。報酬水準が上昇している中で、自社の提示する給与条件が市場と比較してどの程度競争力を持つかを把握することが不可欠です。また、パートタイム労働者の時給増加は、アルバイトや非正規雇用市場における採用競争の激化を意味し、採用担当者にとっての大きな課題となるでしょう。

さらに、物価上昇の影響により実質賃金が減少していることを考慮すると、単なる賃金水準の引き上げだけでなく、福利厚生や職場環境の改善も求職者の関心を引く要素となります。特に若年層やミレニアル世代は、働きがいといった非金銭的な要素を重視する傾向があり、企業文化や働きやすさをアピールすることが採用活動の成功につながるでしょう。

この調査結果は、採用担当者にとって貴重な洞察を提供します。給与や福利厚生の見直しだけでなく、柔軟な働き方の提案やキャリアパスの提示といった取り組みが、今後の採用戦略で重要なポイントとなるでしょう。企業が労働市場の変化に対応し、求職者の多様なニーズに応えることで、優れた人材の獲得と定着が可能となります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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