2025年1月18日
労務・人事ニュース
令和6年11月 和歌山県の有効求人倍率1.11倍、雇用情勢安定も一部業界に課題
一般職業紹介状況(令和6年11月分)(和歌山労働局)
和歌山労働局が発表した最新の労働市場データによると、令和6年11月時点での和歌山県内の雇用情勢は、全体として求人数が求職者数を上回る状況が続いています。ただし、一部の産業では求人の伸びが鈍化しており、特に物価上昇などの外部要因が雇用に与える影響について注視が必要です。
同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.11倍で、前月比0.01ポイント上昇しました。一方、新規求人倍率は1.99倍で前月と同水準となっています。これにより、和歌山県内の雇用市場が引き続き安定していることが示されていますが、産業別にみると、状況は一様ではありません。医療・福祉分野では新規求人が前年同月比で6.9%増加した一方で、卸売・小売業や製造業ではそれぞれ23.5%と11.7%の減少が見られました。
また、正社員の有効求人倍率は0.91倍で、前年同月比で0.04ポイント上昇しています。正社員求人の需要が緩やかに増加している一方で、正社員を希望する求職者数はわずかに減少しており、企業にとって適切な人材確保が依然として課題となっています。
新規求職者の動向においては、全体としての減少が続いています。令和6年11月の新規求職者数は2,487人で、前年同月比で4.8%減少しました。この中で、離職者の割合は1,584人で前年同月比4.7%の減少が見られ、在職者からの新規求職申請は628人で6.5%の減少となっています。
産業別の詳細な動向を見ると、建設業では35.9%の大幅な新規求人増加が報告され、サービス業や生活関連サービス業でも20.0%および54.9%の増加が見られました。一方、農林漁業は63.1%の減少、不動産業では58.3%の減少が記録されており、産業間のばらつきが顕著です。これらのデータは、地域経済の構造的な課題と、各業界ごとの労働需要の違いを反映しています。
和歌山県内の雇用市場を支える重要な課題として、求人と求職のマッチング改善が挙げられます。特に、医療・福祉分野では引き続き高い求人需要がある一方で、離職率の低下や新規求職者の増加が課題です。一方で、卸売・小売業や製造業では、労働力不足を補うために柔軟な雇用形態の導入や賃金改善が求められる可能性があります。
最後に、和歌山労働局は、物価上昇が雇用環境に与える影響について引き続き注視する方針を示しています。同時に、企業や地域社会と連携し、労働市場の安定化に向けた施策を推進していく意向です。
⇒ 詳しくは和歌山労働局のWEBサイトへ