2025年1月17日
労務・人事ニュース
令和6年11月 山梨県の有効求人倍率が1.28倍に低下
山梨県の労働市場の動き(令和6年11月分)(山梨労働局)
山梨県労働局が発表した最新データによると、令和6年11月時点での有効求人倍率(季節調整値)は1.28倍となり、前月比で0.01ポイント低下しました。これは、全国平均の1.25倍をわずかに上回る結果ですが、地域の労働市場には未だ多くの課題が残されています。新規求人倍率においても2.26倍と前月比で0.11ポイント低下しており、新規求職者に対する求人の増加速度が減速している状況です。
正社員の有効求人倍率が1.06倍と前年同月比で0.10ポイント上昇している一方、新規求職者数は2,208人で前年同月比12.0%(302人)減少しました。この減少は特にパートタイム希望者の減少が影響しており、同期間で8.2%(84人)の減少が見られます。こうした傾向は、求職者が特定の雇用形態に集中していることを示しており、労働市場における需給の不均衡が浮き彫りになっています。
さらに、新規求人の内訳を産業別に見ると、建設業が13.9%、教育・学習支援業が77.1%といった増加がある一方で、宿泊業・飲食サービス業が11.0%、医療・福祉業が4.5%減少するなど、業種ごとに明暗が分かれています。特に製造業では総じて7.3%の増加が見られたものの、食料品製造業が29.2%減少するなど、分野による差が顕著です。このような状況は、新型コロナウイルスの影響からの回復基調が業種によって異なることを反映していると考えられます。
就職率に関しても、新規求職申込件数に対する就職件数の割合は32.6%から28.8%に低下しており、充足率も14.0%から12.3%に低下しました。これらの指標は、求職者の就業に結びつく割合が低下していることを示しており、雇用マッチングの効率が課題となっています。
また、企業規模別に見た新規求人数の内訳では、従業員29人以下の小規模事業所が全体の62.5%を占め、30~99人規模が25.3%、100~299人規模が9.7%と続きます。これにより、小規模事業所が地域経済において重要な役割を果たしている一方、安定した雇用を提供するための支援策が求められています。
山梨労働局はこれらの状況を踏まえ、ハローワークのインターネットサービスを活用した求職活動支援を推進しています。オンラインでの求職登録や求人への直接応募の促進により、求職者と企業の間の接点を増やす試みが行われていますが、その効果を測るにはさらなる時間と分析が必要です。
今後の課題としては、まず地域特性に応じた労働力需要の再評価が挙げられます。例えば、宿泊業や飲食サービス業では、観光需要の回復を背景に求人が増える可能性があるため、それに応じた柔軟な雇用形態の導入が鍵となるでしょう。また、医療・福祉分野においては、高齢化社会の進展に伴い、労働力不足が深刻化することが予想されます。こうした背景から、専門的なスキルを持つ人材の確保と育成が急務です。
さらには、若年層の流出を防ぐための地域魅力向上策も欠かせません。働きやすい環境やキャリアアップの機会を提供することで、地元での定住と雇用の安定を目指す取り組みが必要です。これには、企業と教育機関が連携し、産学協同で地域に根ざした人材育成を進めることが期待されます。
⇒ 詳しくは山梨労働局のWEBサイトへ