2025年1月18日
労務・人事ニュース
令和6年11月 島根労働市場の現状 有効求人倍率1.43倍の背景と課題
島根の雇用情勢(令和6年11月分)(島根労働局)
島根労働局の令和6年11月の統計によると、有効求人倍率は季節調整値で1.43倍と、前月と同水準を保っています。月間有効求人数も17,176人と前月比で1.0%の増加が見られました。一方で月間有効求職者数は12,047人で1.4%増加しています。これにより、雇用情勢全体としては依然として安定的であるものの、改善の動きは弱まっていると分析されています。
就職件数は864件と前年同月比で9.6%減少し、就職率も前年より3.8ポイント低下の40.4%となりました。この減少の背景には、求人と求職のミスマッチが依然として課題である点が挙げられます。特に、雇用保険の被保険者数が前年同月比で0.7%減少したことは、地域の雇用市場に一定の停滞感を与えている可能性があります。
産業別新規求人状況を見ると、医療・福祉分野で前年比12.1%増、運輸業・郵便業で13.2%増など、特定分野での伸びが確認されました。一方で、製造業は40.7%減、卸売業・小売業は29.1%減少しており、これらの業界での求人数減少が全体の減少幅を拡大させています。この動向は、地域経済の産業構造が徐々に変化していることを示唆しており、労働市場の需給調整が求められています。
新規求職者数は前年同月比で1.0%減少し、求職者のうちパートタイムを含む在職者は0.6%増加、無業者は1.9%増加しましたが、離職者は1.6%減少しています。この点から、雇用の安定化が一定の成果を上げているものの、労働力不足の懸念は続いています。
さらに、正社員の有効求人倍率は1.31倍で前年同月と同水準でした。正社員求人が有効求人全体に占める割合は48.8%で、依然として過半数を下回っています。この割合は雇用市場において正規雇用を求める声が強まる中で注目されるべき指標です。
雇用調整助成金については、令和6年11月の計画受理件数が前年同月比で177.8%増の25件となり、対象労働者数も789人で47.8%増加しました。この助成金が一部の業種での雇用維持に寄与していることがうかがえますが、その一方で依存の高まりが懸念される点も指摘されています。
雇用の地域差も大きな特徴です。例えば、隠岐の島地域では有効求人倍率が2.12倍と、他地域と比較して高い水準を維持している一方、県央部では1.33倍と比較的低い数値に留まっています。これにより、地域ごとの雇用対策の必要性が一層浮き彫りになっています。
このように、島根県の労働市場は全体として安定しているものの、業種や地域ごとに課題が残っています。これらのデータをもとに、企業は採用戦略を立て直し、労働市場の変化に対応した柔軟なアプローチを取る必要があります。
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ