2025年1月17日
労務・人事ニュース
令和6年11月 長野県雇用情勢、求人数が7%減少で競争緩和
最近の雇用情勢(令和6年11月分)(長野労働局)
令和6年11月、長野労働局は県内の雇用情勢を発表しました。最新のデータでは、新規求人数が14,021人と前年同月比で7.0%減少し、新規求職者数は5,964人で4.1%減少したことが明らかになりました。これにより、有効求人倍率(季節調整値)は1.28倍と、前月比で0.03ポイント減少しています。これらの数値は、物価上昇や経済環境の変化が雇用市場に影響を与えていることを示しています。
産業別に見ると、運輸業や不動産業では新規求人数が増加したものの、その他の産業では全体的に減少傾向にあります。特に製造業やサービス業では、前年同月比で10%以上の減少が見られ、地域経済における課題が浮き彫りになっています。一方で、パートタイムの雇用は比較的安定しており、前年同月比で0.3%の微減にとどまりました。
求職者の状況を詳しく見ると、新規常用求職者のうち「事業主都合離職者」は386人で8.1%減少し、「自己都合離職者」は1,276人で8.9%減少しました。また、「在職者」は1,503人で7.4%の減少が見られます。このデータは、求職活動の低迷が続いている一方で、転職市場の動きも鈍化していることを示唆しています。
11月の就職件数は1,917件となり、前年同月比で6.5%減少しました。この中で常用の就職件数は931件と12.5%減少し、パートタイムの就職件数は0.7%減少しました。これらのデータは、雇用市場全体の動きが停滞していることを強調しています。また、新規求人倍率(季節調整値)は2.10倍で前月比0.12ポイント低下しており、求職者1人に対する求人の競争が緩やかになっていることが分かります。
地域別の雇用状況では、長野県内のすべてのブロックで有効求人倍率が前年同月を下回る結果となりました。しかし、須坂や飯田といった特定の地域では求人倍率が上昇しており、地域ごとに異なる経済動向が見られます。例えば、飯田では観光業の復調が求人の増加に寄与している一方で、中信地区では製造業の低迷が求人減少の要因となっています。
また、雇用情勢の全体的な改善を目指すためには、特定の業種や地域に集中した政策支援が求められます。例えば、労働者の再教育やスキルアップを促進する施策、また、地方自治体や企業と連携した地域活性化プログラムの強化が重要です。特に、非正規雇用者や中高年層の労働市場参加を促す取り組みが、今後の雇用市場の回復を支える要素となるでしょう。
一方で、物価上昇が雇用市場に与える影響についても注視が必要です。物価の上昇は企業の採用意欲に影響を与える可能性があり、今後の政策対応が求められます。企業にとっては、効率的な採用活動を進めるために、デジタル技術を活用した採用プロセスの見直しや、リモートワーク環境の整備が必要不可欠です。
今回のデータを受け、長野労働局は地域ごとの課題解決に向けたさらなる取り組みを進める方針を示しています。特に、若年層の雇用促進や高齢者の雇用環境改善に向けた具体的な施策が期待されています。
⇒ 詳しくは長野労働局のWEBサイトへ