2025年2月21日
労務・人事ニュース
令和6年12月の労働時間データ公開!全産業で総実労働時間136.7時間、前年比1.1%減
毎月勤労統計調査 令和6年12月分結果速報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)
令和6年12月の労働時間・出勤日数に関する最新データが公表され、業種ごとに実労働時間や残業時間の変動が明らかになった。特に、建設業や製造業における所定内労働時間の変化や、鉱業・採石業の労働時間の増加が注目される。労働時間のトレンドを把握することで、企業の採用計画や労働環境改善に役立てることができる。
最新の統計によると、全産業の総実労働時間は136.7時間で、前年同月比で1.1%減少した。これは、労働時間の短縮傾向が継続していることを示しており、企業の生産性向上や働き方改革の影響が反映されている可能性がある。一方、所定内労働時間は126.7時間と前年同月比で0.9%減少し、所定外労働時間(残業時間)は10.0時間で3.8%減少した。これらの変化は、企業の労務管理の見直しや労働時間の適正化が進んでいることを示唆している。
業種別に見ると、鉱業・採石業では総実労働時間が165.6時間と9.9%増加し、所定内労働時間も150.5時間と9.0%の増加を記録した。さらに、所定外労働時間(残業時間)は15.1時間と前年同月比18.9%の大幅増加となった。この増加の背景には、資源価格の変動や需要の高まりが影響している可能性がある。出勤日数も20.4日と前年より1.7日増えており、労働環境の変化が見て取れる。
一方、建設業では総実労働時間が164.5時間と前年同月比で0.4%減少し、所定内労働時間は151.7時間で0.4%増加したものの、所定外労働時間(残業時間)は12.8時間で8.6%減少した。この傾向は、長時間労働の是正が進んでいることを示しており、働き方改革の影響が現れていると言える。出勤日数は20.2日で前年とほぼ変わらず、労働時間の適正化が進みつつある状況だ。
製造業では総実労働時間が158.5時間と前年同月比で0.9%減少し、所定内労働時間は144.8時間で0.8%減少、所定外労働時間(残業時間)は13.7時間で2.1%減少した。このことから、生産性向上や自動化の進展が影響を与えている可能性がある。出勤日数も19.1日と前年から0.1日減少しており、労働時間の短縮が進んでいることが確認できる。
また、電気・ガス業では総実労働時間が150.3時間と1.2%減少し、所定内労働時間も135.5時間で1.2%減少、所定外労働時間(残業時間)は14.8時間と0.6%減少した。出勤日数は18.1日と前年より0.2日減少しており、労働環境の変化が伺える。エネルギー業界では業務の効率化が進んでいる可能性が高く、業界全体として労働時間の最適化が求められている。
このように、業種ごとに労働時間の変化が見られるが、全体的な傾向としては労働時間の短縮と出勤日数の減少が進んでいることが明らかとなった。企業の採用担当者にとって、労働時間の変化は人材確保や業務効率化に直結する重要な要素である。特に、所定外労働時間(残業時間)の減少は、従業員のワークライフバランスを改善し、離職率の低下につながる可能性がある。
今後の採用戦略を考える上で、労働時間のトレンドを踏まえたアプローチが重要となる。例えば、労働時間が増加している業種では、労働環境の改善策を打ち出すことで人材確保の競争力を高めることができる。一方、労働時間の短縮が進んでいる業種では、柔軟な働き方を提案することで優秀な人材の確保につなげることができる。
企業の人事部門においては、これらのデータを活用し、より効果的な採用戦略や人材管理の方針を策定することが求められる。特に、近年注目されているリモートワークやフレックスタイム制度の導入など、柔軟な働き方を積極的に取り入れることが、今後の人材確保の鍵となる可能性がある。今回のデータから見える労働環境の変化を踏まえ、自社の採用計画を見直す機会とすることが重要だ。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ