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2025年3月11日

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令和6年12月の労働者総数は51,265千人!前年比0.9%増の背景とは?

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毎月勤労統計調査 令和6年12月分結果確報 第3表 常用雇用及び労働異動率(厚労省)

令和6年12月の毎月勤労統計調査によると、日本の労働市場では雇用環境に変化が見られる。特に常用雇用者の動向やパートタイム労働者の比率、入職率と離職率の変動が注目される。全国の事業所(従業員5人以上)の労働者総数は51,265千人となり、前年同月比で0.9%増加した。この増加は、企業が新規採用を継続して行っていることを示しており、雇用環境が引き続き活発であることを表している。しかし、産業別に見ると、雇用の増減には大きな差があり、一部の業種では労働者数が減少している点も見逃せない。

パートタイム労働者の比率は31.22%となり、前年同月比で0.36ポイント上昇した。この数字は、日本の労働市場において、非正規雇用の割合が依然として高いことを示している。特に、サービス業や小売業などではパートタイム労働者の比率が高く、企業側も柔軟な雇用形態を取り入れることで労働力を確保している。一方で、パートタイム労働者の増加は、安定した雇用環境を求める求職者にとっては不安要素となる可能性がある。特に、フルタイムの正社員希望者にとっては、企業の雇用方針が今後どのように変化するかが重要なポイントとなる。

産業別に雇用動向を詳しく見ると、建設業の雇用者数は2,545千人で前年比0.8%増加し、パートタイム労働者比率は5.28%となった。この業界では慢性的な人手不足が続いているため、企業は積極的に新規採用を行っている。一方で、製造業の労働者数は7,657千人で、前年比0.1%の減少となり、パートタイム労働者の比率も12.91%と微減した。これは、製造業において自動化や省人化が進み、労働需要が減少していることが要因と考えられる。また、金融業・保険業では、労働者総数の変化はほぼなく、パートタイム労働者の比率は低いままである。これは、専門的なスキルを持つ正社員を中心に雇用が行われているため、非正規雇用の増加が限定的であるためだ。

入職率に関しては、全体平均で1.48%となり、前年同月比で1.42ポイントの増加が見られた。特に、鉱業・採石業では入職率が1.26%と前年より1.32ポイント上昇しており、労働力の確保が活発に行われていることが分かる。一方、建設業では入職率が1.03%とやや低く、前年より1.02ポイント減少している。これは、長時間労働や過酷な労働環境が影響し、新規採用が思うように進んでいない可能性がある。製造業の入職率は0.77%で前年より0.13ポイント上昇しているが、業界全体としては雇用の伸びが鈍化している。

離職率の動向にも注目が必要である。全体の離職率は前年より0.10ポイント低下し、1.42%となった。特に、鉱業・採石業では離職率が0.44%で前年より2.58ポイント増加しており、業界の人材定着に課題があることが分かる。一方、建設業では離職率が0.14%で前年より0.73ポイント増加しており、依然として高い水準を維持している。これは、労働環境の厳しさや賃金体系の問題が影響していると考えられる。製造業の離職率は0.04%減少しており、雇用の安定性が向上していることを示している。

このような雇用動向を踏まえると、企業の採用戦略にはいくつかの課題がある。まず、パートタイム労働者の比率が上昇していることから、企業は非正規雇用の待遇改善を進める必要がある。特に、パートタイム労働者に対する研修制度の充実や、正社員登用の機会を増やすことで、長期的な人材確保を目指すことが重要となる。また、入職率の増減が業種によって異なることから、採用活動の強化が求められる分野と、人材の流動性が高い分野の違いを理解し、適切な採用方針を立てる必要がある。

離職率の低下が見られる業界では、企業側の努力が一定の成果を上げていると考えられるが、逆に離職率が上昇している業界では、労働環境の改善が急務となる。特に、建設業や鉱業・採石業では、労働条件の厳しさが離職率上昇の一因となっているため、働き方改革を進めることが求められる。具体的には、労働時間の短縮、休暇制度の充実、安全対策の強化などが必要となる。また、採用面では、求職者に対して職場環境の改善やキャリアアップの機会を明確に伝えることが重要である。

今後、企業が雇用環境をどのように整備していくかが、持続可能な経営の鍵となる。特に、若年層の採用を強化するためには、ワークライフバランスの確保や、キャリア形成の支援が不可欠である。また、高齢者の再雇用や、女性の労働参加を促進するための制度改革も求められる。企業はこうした変化に適応し、より多様な働き方を提供することで、優秀な人材を確保し、長期的な成長を実現することができる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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