2025年2月9日
労務・人事ニュース
令和6年12月の有効求人倍率は受理地別0.90倍・就業地別1.09倍!求職者数増加の中で採用市場の変化を探る
労働市場速報(令和6年12月分及び令和6年分)を公表します(神奈川労働局)
神奈川労働局が発表した最新の労働市場速報によると、令和6年12月の有効求人倍率は受理地別で0.90倍、就業地別で1.09倍となり、前月から横ばいまたはやや低下する結果となった。新規求人倍率については受理地別で1.58倍、就業地別で1.88倍と、こちらも前月比で横ばいまたは減少の傾向が見られた。これらの数値は、依然として労働市場が厳しい状況にあることを示しているが、全体としては持ち直しの兆しも見られるとされている。
特に正社員の有効求人倍率は0.74倍で、前年同月から0.01ポイント上昇した。これは、企業が正社員採用に対して引き続き慎重な姿勢を取る一方で、一部の業種では採用を積極化する動きがあることを示している。また、令和6年の年間平均有効求人倍率は受理地別で0.91倍と、前年から変動がなかった。これは、雇用市場が全体的に安定しているものの、大きな改善は見られないことを意味している。
新規求人数は受理地別で33,123人となり、前月比で3.4%増加した。一方、新規求職者数も20,913人で、前月比2.9%の増加が見られた。新規求人を業種別に見ると、宿泊業・飲食サービス業が前年同月比で66.2%増と大きく伸びており、続いて情報通信業が13.8%増、サービス業が3.8%増となっている。一方、医療・福祉分野は4.4%減、卸売業・小売業は5.6%減、学術研究・専門技術サービス業は6.3%減、建設業は6.4%減、製造業は11.6%減、運輸業・郵便業は22.4%減と、業種によって明暗が分かれる結果となった。
また、正社員の有効求人数は47,169人で、前年同月比1.6%の増加となった。これに対し、パートを除く常用求職者数は63,573人で、前年同月比0.6%の増加であった。これは、正社員の求人は微増しているものの、それを求める人の数も増えているため、競争率が依然として高いことを示唆している。
雇用情勢について神奈川労働局は、「一部に弱さが残るものの、持ち直しに向けた動きが広がっている」との判断を示しており、これは前月と同様の評価となった。物価上昇などの経済的要因が雇用に与える影響については引き続き注意が必要であるとされている。
新規求職者の態様別内訳を見ると、離職者が前年同月比で5.4%増加した一方で、在職者は9.7%減、無業者も4.5%減となった。離職者の中でも、定年到達者は1.3%増、事業主都合離職者は32.4%増、自己都合離職者は4.6%減となっており、特に事業主都合の離職が急増している点が懸念材料である。
令和6年の年間平均データによると、有効求人数(受理地別)は99,481人で前年比1.3%増加し、有効求職者数は109,247人で前年比1.7%増加した。これにより、年間を通じた有効求人倍率は横ばいを維持しているものの、求職者数の増加が続いており、求職市場が依然として厳しい状況にあることがうかがえる。
このような状況の中で、企業の採用担当者にとっては、今後の採用戦略をどのように調整するかが重要な課題となる。特に、宿泊業や情報通信業など人材需要が高まっている分野では、採用活動の強化が求められる一方で、製造業や運輸業などの人材流出が進んでいる業種では、雇用環境の改善が急務となる。
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ