2024年6月10日
労務・人事ニュース
令和6年4月の新設住宅着工件数、前年比13.9%増加、貸家と分譲住宅の伸びが顕著
建築着工統計調査報告(令和6年4月分)(国交省)
国土交通省総合政策局建設経済統計調査室は、令和6年5月31日に令和6年4月分の新設住宅着工統計調査報告を公表しました。この調査によると、4月の新設住宅着工戸数は前年同月比13.9%増の76,583戸となり、11か月ぶりの増加となりました。床面積についても前年同月比9.1%増の5,766千㎡と15か月ぶりに増加しています。季節調整済年率換算値では前月比15.8%増の880千戸と、こちらも4か月ぶりの増加を示しています。
詳細を見ていくと、持家は前年同月比3.9%減の17,878戸と減少傾向にありますが、貸家と分譲住宅がそれぞれ20.6%増の34,598戸、16.5%増の22,955戸と大幅に増加しています。特に、分譲住宅の中でもマンションは69.0%増の12,226戸と大きな伸びを見せています。
地域別に見ると、首都圏では持家が前年同月比2.1%増、貸家が8.2%増、分譲住宅が19.8%増と全体的に増加しています。特にマンションが66.2%増の大幅増加を記録しています。中部圏や近畿圏でも同様の傾向が見られ、特に近畿圏では貸家が51.0%増と著しい伸びを示しています。
また、建築工法別ではプレハブ住宅が前年同月比6.4%減の7,845戸と減少していますが、ツーバイフォー工法の住宅は37.4%増の9,064戸と増加しています。このような工法の違いも全体の増減に影響を与えていることが分かります。
さらに、用途別に見ても興味深い動きが見られます。民間非居住建築物の床面積は前年同月比18.2%減の356万㎡と減少していますが、卸売業・小売業用の建物は45.7%増、宿泊業・飲食サービス業用の建物は78.9%増と業種によって大きく増減しています。これは、地域ごとの経済活動や需要の違いが反映されていると考えられます。
公共の建築主による建築物は、床面積で前年同月比0.7%増の57万㎡とわずかに増加していますが、民間の建築主による建築物は2.1%減の953万㎡と減少しています。これは、公共投資が維持されている一方で、民間投資が減少している現状を示しているといえます。
全体として、新設住宅の着工件数は増加傾向にあるものの、地域や用途、工法によってその動きはさまざまであり、今後の動向にも注目が必要です。興味深いのは、新設住宅着工の増加が分譲マンションや貸家の増加に支えられている点であり、これが都市部の需要を反映していることが示唆されます。また、工法別の増減も、住宅の多様化や省エネ・耐震性への関心が高まっていることを反映していると考えられます。
今回の調査結果は、国土交通省のホームページでも詳細に公開されており、今後の政策や市場動向を見極める上で重要な資料となります。興味のある方はぜひご覧ください。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ