2025年1月13日
労務・人事ニュース
令和6年5月の介護予防サービス受給者数が前年比5.6%増、支援体制の拡充が急務
介護給付費等実態統計月報(令和6年5月審査分)(厚労省)
令和6年5月の介護給付費等実態統計月報によると、全国の介護予防サービスおよび介護サービスの受給者数はそれぞれ増加を示しました。介護予防サービスの受給者数は前年比5.6%増の919.4千人、介護サービスの受給者数は前年比0.7%増の4,679.8千人となっています。このデータは、介護ニーズの高まりや高齢化社会の進展を如実に反映していると言えます。
介護予防サービスにおいて、要支援1の受給者数は前年比5.4%増の365.8千人、要支援2では5.7%増の549.9千人となりました。特に要支援2の増加率が顕著であり、地域での支援や予防サービスの重要性が増していることが伺えます。一方で、介護サービスの利用状況を要介護度別に見ると、要介護1の受給者数は前年比0.9%増の1,247.7千人、要介護2は2.5%増の1,125.5千人と順調に増加していますが、要介護5では1.4%減少しており、利用者の重度化の進行に若干の変動が見られました。
次に費用額に目を向けると、介護予防サービスの総費用額は前年比7.4%増の25,629百万円に達しました。一人当たり費用額も前年比1.7%増の27.9千円と上昇しており、個々のサービスの利用内容が充実していることを示しています。一方で、介護サービスの総費用額は前年比2.1%増の930,297百万円、一人当たり費用額は1.3%増の198.8千円でした。これらのデータからは、介護サービスの提供に必要なリソースが年々増加していることがうかがえます。
これらの結果は、介護サービスの利用が高齢化に伴い広範囲に進む一方で、その費用負担や提供体制の確保がますます重要になることを示唆しています。特に介護予防サービスの成長は、将来的な介護費用の抑制や利用者の自立を促進するための鍵となります。一方、介護サービスでは高齢者の多様なニーズに応じた支援の充実が求められるでしょう。
また、各要介護度での受給者数の増減を見ると、要介護2の受給者数が前年比で最も高い増加率を記録しており、これは介護が必要な高齢者層が中程度の支援を必要としていることを示しています。一方、要介護5での減少は、重度の要介護者への対応に変化が生じている可能性を示唆しています。例えば、新しい医療技術やリハビリテーションの普及により、要介護者がより軽度な支援に移行するケースも考えられます。
さらに、地域ごとの取り組みや介護制度の効果的な運用が、受給者数の増減や費用の増減にどのように影響しているかを検証する必要があります。政府や自治体が推進している地域密着型介護サービスや在宅介護支援のプログラムは、こうした介護ニーズの変化に対応する上で重要な役割を果たしています。
今後は、介護予防の取り組みをさらに強化し、介護サービス利用者の負担軽減を図ると同時に、介護職の人材確保や働きやすい環境の整備が求められます。特に、介護予防サービスの増加が示すように、高齢者が可能な限り自立した生活を送るための支援策がより一層の注目を集めるでしょう。また、介護サービス全般における質の向上や効率的な資源配分を実現するためのデータ活用や政策立案が、引き続き課題となると考えられます。
こうした統計データは、介護業界に関わる全ての関係者にとって有益な指標となります。特に採用担当者にとっては、データをもとにした人材戦略やサービス提供の強化が重要となるでしょう。地域別のニーズ分析や今後の需要予測を考慮しつつ、介護サービスの提供体制をより良いものへと進化させる取り組みが求められるのです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ