2024年11月17日
労務・人事ニュース
令和6年5月の労働統計 総実労働時間136.8時間、残業時間9.8時間の現状が企業に与える影響と改善のポイント
毎月勤労統計調査地方調査 令和6年5月分結果概要 表1 事業所規模5人以上 調査産業計(厚労省)
令和6年5月の全国労働統計によると、常用労働者数は約5081万人に達し、総実労働時間は136.8時間に上りました。これは、労働者1人あたりの平均労働時間と労働日数に基づき、企業の労働負担や労働条件を把握する上で重要な指標となります。この数値は、企業が採用計画を立てる際の基準としても活用できるため、採用担当者にとっても貴重な情報源です。実際の所定内労働時間は127時間、所定外労働時間は9.8時間となっており、残業の実態を反映しています。所定外労働時間の増減は、特に労働負担の評価や働き方改革の進捗度を測る指標として有用です。企業における残業削減や働き方改革の取り組みが進んでいる中で、今後の労働時間管理の改善に関する議論においても参考となるデータです。
出勤日数は17.7日とされており、これは年間カレンダーや祝日数の影響を考慮に入れた労働日数として考えられます。この出勤日数は、労働者の健康管理や労働の効率性を検討するうえで企業にとって欠かせない指標です。また、出勤日数は採用活動にも影響を与えるため、新たな人材を迎える際の労働条件設定に重要な役割を果たします。多くの企業が働き方の多様化に取り組んでおり、在宅勤務やフレックス勤務制度の導入が進む中で、従業員の出勤状況を適切に管理することが企業の競争力維持に繋がります。
一方、給与関連の指標では、現金給与総額が297,162円、うち「きまって支給する給与」が281,665円、「所定内給与」が262,496円、「特別給与」が15,497円という数値が示されています。これは、基本給に加えて特別支給(ボーナス等)の支給実態を把握できる重要なデータであり、労働者の生活水準の維持や企業の給与体系の見直しにも影響を与えます。現金給与総額が前年同月比で増加している場合、インフレや物価上昇を考慮した賃上げの可能性を検討することも企業には求められます。この給与データは、採用時における給与設定や競合企業との差別化を図る際の参考にもなり得るため、採用担当者にとっても注目すべきポイントです。
労働時間の管理と給与の設定は、従業員の定着率や応募者の質にも影響を及ぼします。現在、多くの企業が労働条件を柔軟に設定し、社員のワークライフバランスを重視する傾向にあります。このデータからも、残業時間の抑制や給与水準の適正化に向けた取り組みの必要性がうかがえます。特に、所定外労働時間が長期的に減少傾向にあることが確認されれば、従業員の満足度向上や企業イメージの向上にも寄与すると考えられます。採用担当者はこのような統計データを元に、労働市場の変化に柔軟に対応し、競争力のある労働環境を提供するための施策を検討する必要があるでしょう。
企業において、給与や労働条件の改善は従業員満足度を高め、優秀な人材の定着につながるとされています。特に最近の若年層では、給与以上に働きやすさや労働環境を重視する傾向が強まっており、採用戦略においてもこうした傾向を反映することが不可欠です。残業時間の抑制や出勤日数の調整は、社員の健康管理にも大きく寄与し、長期的な生産性向上を支える基盤となります。労働市場が流動化する中で、こうした統計データを用いて、競争力のある採用戦略を築き、企業の成長に繋げていくことが期待されています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ