2024年9月16日
労務・人事ニュース
令和6年5月の鉄道輸送量、旅客20億人超・貨物290万トンで徐々に回復傾向
鉄道輸送統計月報(概要)(令和6年(2024年)5月分)(国交省)
令和6年8月29日に総合政策局情報政策課交通経済統計調査室から発表された最新の鉄道輸送統計によると、令和6年5月の鉄・軌道旅客輸送量は前年同月比で増加傾向にあるものの、2019年の同月と比較すると依然として減少していることが明らかになりました。このデータは、国内の鉄道輸送における現状を示しており、鉄道業界や関連する企業にとって重要な指標となります。
まず、旅客数量の総合計は20億2159万人で、前年同月比では4.0%の増加が見られました。しかし、2019年の同月と比較すると8.6%減少しており、コロナ禍以前の水準にはまだ達していない状況です。旅客人キロの総合計も同様に342億人キロとなり、前年同月比で3.7%増加したものの、2019年と比較すると9.7%減少しています。このことから、国内の移動需要が徐々に回復しているものの、依然として完全な復活には至っていないことがうかがえます。
特に注目すべきは、新幹線の利用状況です。新幹線の旅客数量は3004万4千人で、前年同月比で8.9%増加し、2019年同月比では96.6%の水準まで回復しています。また、新幹線の旅客人キロも772億1,843万キロに達し、前年同月比で6.3%の増加を示しています。これは、新幹線の利用が着実に回復しつつあることを意味しており、ビジネスや観光などの長距離移動の需要が増加していることを示唆しています。
一方で、JR旅客会社全体の旅客数量は7億5,119万6千人で、前年同月比で3.0%増加し、2019年と比較しても90.0%の水準に達しています。旅客人キロも2,115億1,185万キロとなり、前年同月比で3.5%増加しましたが、2019年と比較すると90.4%の水準にとどまっています。このデータは、国内の公共交通機関の利用が全体的に回復基調にあることを示していますが、まだ完全には回復していないことを物語っています。
民鉄(JR以外)の旅客輸送も好調で、旅客数量は12億7,039万5千人となり、前年同月比で4.5%増加しました。しかし、2019年と比較すると92.2%の水準にとどまっており、まだ課題が残っていることがわかります。民鉄の旅客人キロも1,307億6,154万キロで、前年同月比で4.0%増加したものの、2019年比で90.2%の水準にとどまっています。
貨物輸送の分野でも、若干の増加が見られます。鉄道貨物の数量総合計は290万3499トンで、前年同月比で0.3%増加しましたが、2019年同月比では10.6%減少しています。貨物トンキロの総合計は13億5,207万4千トンキロで、前年同月比では5.8%増加していますが、2019年と比較すると11.4%減少しています。これらのデータから、国内物流の一部が徐々に回復していることが確認できますが、依然として物流全体における課題が存在することがわかります。
特にコンテナ貨物の輸送に関しては、数量が159万2,813トンで前年同月比6.2%増加していますが、2019年と比較すると85.5%にとどまっています。貨物トンキロも12億4,523万1千トンキロで、前年同月比で6.8%増加しているものの、2019年同月比では88.2%の水準にとどまっています。これらの数字は、国内経済が緩やかに回復しつつある一方で、完全な回復にはまだ時間がかかることを示しています。
さらに、車扱貨物の数量は131万686トンで、前年同月比で6.1%減少し、2019年同月比では94.5%となっています。貨物トンキロも1億684万3千トンキロで、前年同月比では4.7%減少しましたが、2019年同月比では92.7%の水準にとどまっています。このデータから、特に重工業や製造業に関連する輸送が依然として弱いことが浮き彫りになっています。
この統計データは、国内の鉄道輸送が徐々に回復しつつある一方で、依然として課題が多く残されていることを示しています。特に、新幹線の利用が回復基調にある一方で、全体的な旅客輸送や貨物輸送はまだ2019年の水準には達しておらず、国内経済の完全な回復には至っていません。これらのデータは、鉄道業界や物流業界、さらには関連する企業にとって、今後の戦略を考える上で重要な指標となります。
これからの見通しとしては、国内外の経済状況や社会的な動向に大きく影響されることが予想されます。企業や政府がどのように対応していくかによって、今後の輸送量や経済の回復速度が左右されることでしょう。鉄道業界にとっては、今後の需要回復を見据えた戦略的な対応が求められており、効率的かつ柔軟な対応が鍵となることは間違いありません。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ