2024年8月13日
労務・人事ニュース
令和6年6月の栃木県新規求人倍率が2.02倍に、前年比10.9%減少
【安定】労働市場のようす(令和6年6月の求人・求職の取扱状況)(栃木労働局)
栃木労働局は地域の雇用情勢について最新の統計を発表しました。この報告は、地域の労働市場の現状を理解し、今後の雇用対策や政策立案に役立てるための重要な資料となります。報告によると、有効求人倍率は1.12倍で、前月に比べてわずかに0.01ポイント下回りました。この数値は、求職者に対する求人数の比率を示しており、数字が下がることで、就職の難しさが増すことを示唆しています。
栃木県全体での有効求人数は37,063人で、前年同月に比べて6.1%の減少が見られました。一方で、有効求職者数は35,220人で、前年同月比で0.4%の減少となっています。これにより、全体としての求人倍率は低下しました。また、新規求人数も前年同月比で10.9%減少しており、雇用市場における新たな求人の減少が顕著に現れています。
この統計では、産業別に新規求人の増減も分析されており、特に建設業と製造業での新規求人が前年同月比でそれぞれ13.9%、10.5%の減少を記録しています。建設業においては、東北地域の原発関連施設の改修工事が終了した影響や、戸建住宅の着工数が鈍化したことが要因として挙げられます。また、製造業では、自動車製造業者からの大量求人が充足されたことや、中国向け輸出の減速が影響し、求人の減少に繋がったと報告されています。
卸売業・小売業も前年同月比で25.0%の大幅な減少を示しており、これは物流センターの新規開設が前年に終了したことや、レジの省人化などの技術革新による影響が大きいとされています。一方で、宿泊業と飲食サービス業は5.5%減少していますが、特に宿泊業では前年同月比で16.1%の減少が見られ、アルバイト採用による充足や施設改装による長期休館が影響していると考えられます。
この報告書は、地域ごとの労働市場の動向をさらに詳しく分析するために、雇用保険受給者の動向にも言及しています。令和6年6月における雇用保険受給者数は6,529人で、前年同月比で3.4%増加しています。この増加は、雇用環境の厳しさを反映していると考えられ、今後も継続的なモニタリングが必要です。
さらに、この報告では新規求人倍率も分析されており、2.02倍と前月比で0.04ポイントの減少が見られました。新規求人数が減少する一方で、新規求職者数も減少しているため、全体としての求人倍率は下降しています。特に正社員の求人倍率は0.98倍となり、前月よりも0.01ポイント下回りました。このようなデータは、正社員を目指す求職者にとって、依然として厳しい雇用環境が続いていることを示しています。
また、報告書では産業別の求人動向も詳述されており、例えば生活関連サービス業や娯楽業においては、新規求人が前年同月比で7.5%増加しました。この増加は、レジャー需要の活発化を背景にしているとされ、大規模プール施設の監視員やゴルフ場の運営スタッフなど、夏期に向けた一時的な求人が増加していることが一因です。
医療・福祉分野でも新規求人が見られますが、前年同月比で4.7%の減少が報告されています。医療業界では、人員確保のための求人が一部充足されたことや、院内での人員調整が行われた結果、求人が減少しました。同様に、介護施設からの求人も一部が充足されたことにより、前年同月比で3.9%の減少を示しています。
このようなデータは、地域の労働市場における需給バランスや、各産業における人材確保の状況を理解する上で非常に重要です。企業側としては、労働力の確保に向けた戦略の見直しが求められると同時に、求職者側も自らのスキルを向上させることが、今後の雇用環境での成功に繋がるでしょう。また、行政としては、雇用環境の改善に向けた施策の強化が必要であり、地域の特性に応じた支援策を講じることが求められます。
総じて、令和6年6月の栃木県における労働市場は、全体的に求人の減少傾向が見られるものの、特定の産業では依然として求人が続いており、地域の経済活動の一端を担っています。今後もこのような統計データをもとに、労働市場の動向を注視し、適切な対応策を講じることが求められるでしょう。
⇒ 詳しくは栃木労働局のWEBサイトへ