2024年12月31日
労務・人事ニュース
令和6年6月末現在、148万人の未充足求人!欠員率が2.9%に達する中で見逃せない産業別の求人状況
令和6年上半期雇用動向調査結果の概要 未充足求人の状況(厚労省)
令和6年6月末現在、日本国内の未充足求人数は約148万人に達し、欠員率は2.9%を記録しました。特に注目すべきは、パートタイム労働者における未充足求人数が約49万人で、その欠員率が3.6%と全体を上回っている点です。この傾向は、近年の労働市場の変化と深く関係しており、特定の業種や職種で労働力の需給バランスに大きなズレが生じていることを示しています。
産業別に見ると、「卸売業、小売業」が最も多く約27万人の未充足求人数を抱え、次いで「医療、福祉」が約27万人という状況です。一方、欠員率が最も高いのは「建設業」の5.4%で、次に「鉱業、採石業、砂利採取業」の4.6%が続いています。これらの業界は、熟練労働者や専門スキルを持つ人材の不足が顕著であり、今後の人材確保に向けた具体的な対策が急務とされています。
職業別では、「専門的・技術的職業従事者」が約41万人と最多で、次いで「サービス職業従事者」が約31万人という結果が得られています。欠員率では、「建設・採掘従事者」が6.9%と突出しており、次に「輸送・機械運転従事者」が4.3%となっています。特に建設業では、長年にわたる労働人口の減少と新規参入者の不足が、欠員率の高止まりを招いていると考えられます。
未充足求人の要因を分析すると、第一に挙げられるのは、労働条件のミスマッチです。一部の業界では、賃金や労働時間、福利厚生などの条件が求職者の期待と乖離しており、それが人材不足を引き起こしています。特にパートタイム労働者においては、短時間勤務を希望する一方で、収入や職場環境の改善を求める声が強まっています。また、高度なスキルや資格が必要とされる職種では、即戦力となる人材の確保が困難を極めています。
さらに、少子高齢化による労働力人口の減少も深刻な課題です。日本では、高齢化が進む中で働き手が減少し、特に地方部ではその影響が顕著に表れています。この結果、多くの企業が人材確保に苦戦し、未充足求人の増加に拍車をかけています。
このような状況を受け、政府や企業が行うべき取り組みとしては、まず賃金や待遇の見直しが挙げられます。また、働きやすい環境を整えるため、リモートワークの導入やフレキシブルな勤務体制の採用も重要です。さらに、専門スキルを持つ人材の育成を支援する教育プログラムの充実や、海外人材の受け入れを含めた国際的な視点での労働力確保策も必要です。
特定の職種や業界で労働力不足が続く場合、事業の効率化や自動化の推進が解決策となる可能性があります。例えば、製造業や物流業では、ロボットやAI技術を活用した業務の自動化が進められています。これにより、必要な労働力を削減しつつ、生産性を向上させることが可能です。
最後に、求職者と企業の橋渡しをするマッチングサービスの強化も見逃せません。テクノロジーを活用した求人情報の提供や、AIを活用した適性診断の普及は、労働市場のミスマッチを解消する有効な手段となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ