2024年8月30日
労務・人事ニュース
令和6年7月の有効求人倍率が1.24倍に上昇、専門職と技術職で新規求人が急増
一般職業紹介状況(令和6年7月分)について(厚労省)
令和6年7月の一般職業紹介状況について、最新の統計データをもとに詳細な分析を提供します。このデータは、企業の採用担当者が労働市場の動向を把握し、適切な採用戦略を策定する上で非常に重要な情報となります。
まず、有効求人倍率についてです。令和6年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月比で0.01ポイント上昇しました。この数字は、求人の数が求職者の数を上回っていることを示しており、労働市場は依然として雇用者優位の状況が続いていることがわかります。一方で、新規求人倍率は2.22倍で、前月比0.04ポイント低下しました。新規求人倍率が低下した理由としては、一部の産業での新規求人の減少が考えられます。
次に、産業別の動向を見てみましょう。特に学術研究、専門・技術サービス業や情報通信業、医療・福祉分野での新規求人の増加が顕著です。具体的には、学術研究・専門・技術サービス業で7.4%、情報通信業で6.6%、医療・福祉分野で5.1%の増加が見られます。これに対し、教育・学習支援業では5.1%、製造業では2.9%、宿泊業・飲食サービス業では1.6%の減少が観察されました。これらの業界での減少は、コロナ後の回復が依然として遅れていることや、季節的な要因が影響している可能性があります。
さらに、都道府県別の有効求人倍率も興味深い結果を示しています。就業地別で最も高いのは福井県の1.83倍、最も低いのは大阪府の1.03倍でした。受理地別では、東京都が1.84倍で最も高く、神奈川県が0.93倍で最も低い結果となりました。このような地域差は、地域ごとの産業構造や経済状況、人口動態などが影響していると考えられます。
労働市場全体の動向を見てみると、7月の有効求人は前月比で0.3%減少し、有効求職者も同じく0.9%減少しました。一方で、新規求人(原数値)は前年同月比で1.2%増加しており、これは特定の産業における求人需要の増加を反映しています。この増加が見られる産業には、前述の学術研究・専門・技術サービス業、情報通信業、医療・福祉分野が含まれます。
正社員有効求人倍率についても触れておきましょう。令和6年7月の正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍で、前月と同水準でした。これは、正社員の求人が求職者数に対して均衡していることを示しています。しかし、パートタイムを除いた常用労働者を対象とした場合、この数値はやや低くなる傾向があります。派遣労働者や契約社員を希望する求職者が含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となることがその理由です。
新規求職者の動向も注目に値します。令和6年7月の新規求職申込件数は前年同月比で4.7%増加し、新規求人数も1.2%増加しました。この増加は、特に技術職や専門職における求人需要の高まりを反映しています。一方で、製造業やサービス業など一部の分野では、求人需要が減少しているため、企業の採用戦略には業界ごとの状況を踏まえた柔軟な対応が求められます。
最後に、就職件数についてです。令和6年7月の就職件数は94,733件で、前年同月比で2.1%増加しましたが、前月比では1.6%減少しました。これは、季節的な要因や、特定の産業における採用活動の一時的な停滞が影響していると考えられます。
これらのデータを総合的に見ると、令和6年7月の労働市場は依然として求人が活発であり、特に専門職や技術職における需要が高いことが確認されます。一方で、業界や地域ごとの差異が大きく、企業の採用担当者には、これらのデータを活用し、より精度の高い採用戦略の策定が求められるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ