2024年9月3日
労務・人事ニュース
令和6年7月の正社員有効求人倍率0.74倍、滋賀県内企業の採用競争が激化
一般職業紹介状況(令和6年7月分)について(滋賀労働局)
滋賀労働局が発表した令和6年7月分の労働市場動向は、企業や採用担当者にとって重要なデータを提供しています。この報告書によると、県内の雇用情勢は全体として持ち直しつつあるものの、物価上昇などの経済的要因が引き続き雇用に影響を与える可能性があるとされています。
まず、有効求人倍率についてですが、7月の有効求人倍率(受理地別、季節調整値)は0.98倍で、前月に比べ0.01ポイント低下しました。この数値は、2か月ぶりの低下を示しており、県内の求人市場がやや厳しい状況にあることを示唆しています。一方、新規求人倍率は1.84倍と前月を0.07ポイント上回り、2か月連続の上昇となりました。この結果から、新規の求人は増加傾向にあり、特に学術研究や専門技術サービス業、教育・学習支援業などの分野での求人が顕著に増加しています。
求人の動きを具体的に見ると、有効求人数は22,242人で前月比1.4%減少しました。これに対して、新規求人数は8,132人で前月比3.0%増加しており、特に建設業や製造業での求人増加が見られます。特に教育、学習支援業では前年比49.6%の増加となり、地域の教育機関や学習支援に対するニーズが高まっていることが示されています。
求職者側の動きを見ると、有効求職者数は22,604人で、前月比0.5%減少しました。これに伴い、新規求職者数も4,424人で前月比1.0%減少し、2か月連続での減少が見られます。特に、パートタイムを除く常用求職者数は2,645人で前年比6.0%増加しており、フルタイムの職を求める求職者が増えていることがわかります。
また、正社員の有効求人倍率は0.74倍で、前年同月比で0.05ポイント低下しました。これは11か月連続での低下を意味し、正社員としての雇用が厳しい状況にあることを示しています。しかしながら、正社員求人が全体の新規求人に占める割合は44.4%と前年同月より0.6ポイント上昇しており、企業側の正社員採用意欲が一部で回復しつつある兆しも見られます。
一方、業種別の求人動向を見ると、建設業や製造業、医療福祉分野での求人増加が目立ちます。これらの業種は、人手不足が深刻化していることから、企業が積極的に求人を行っていると考えられます。一方で、情報通信業や卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業では求人が減少しており、特に情報通信業では前年比59.8%の大幅な減少が見られます。これらの業種では、経済的な不確実性や消費行動の変化により、採用活動が抑制されている可能性があります。
このように、令和6年7月の滋賀県内の労働市場は、業種ごとに異なる動きを見せており、企業の採用戦略や人材確保の手法に影響を与えるデータが豊富に含まれています。特に、正社員採用を中心に据えた企業は、競争が激化する可能性があるため、求人内容の見直しや採用手法の多様化が求められるでしょう。また、求職者側も、自身のスキルセットやキャリアプランに合わせた求人情報の収集と応募戦略を検討する必要があると言えます。
以上の情報を基に、企業の採用担当者は、地域ごとの労働市場動向を把握し、自社の採用活動を効果的に進めるためのデータとして活用することができます。特に、建設業や製造業などの求人が増加している業種では、競合他社との差別化を図りつつ、求職者にとって魅力的な雇用条件を提示することが重要となるでしょう。
滋賀県の正社員有効求人倍率0.74倍に低下、地域経済に懸念が広がる
滋賀県の労働市場において、令和6年7月分のデータが示すところでは、地域経済や雇用の安定性に対するいくつかの重要な影響が見られます。まず、有効求人倍率の低下は、求人に対する求職者の増加に比べて、求人数が減少していることを示しており、これが県内全体の雇用環境に与える影響は小さくありません。具体的には、求人の減少は一部の業種で顕著に現れており、特に情報通信業や宿泊業、飲食サービス業といった分野での求人が大幅に減少しています。このような業種は、地域経済において重要な役割を担っているため、求人減少が続くと、県内の雇用機会が減少し、結果的に失業率の上昇や労働市場の停滞を招く可能性があります。
一方で、建設業や医療福祉分野では求人が増加しており、これが滋賀県内の特定の産業分野において、労働需要の偏りを生じさせる可能性があります。特に建設業は、県内のインフラ整備や都市開発の進展に伴って需要が増加しており、今後も求人が高水準で推移することが予想されます。しかし、これに伴う人材不足の問題が顕在化する可能性があり、企業は労働力の確保に向けてより積極的な採用活動を行う必要があります。また、医療福祉分野においても高齢化社会の進行に伴い、長期的な求人増加が見込まれますが、こちらも人材の不足が懸念されます。
正社員の有効求人倍率が低下していることは、雇用の質に対する懸念を生じさせます。正社員の雇用は安定した収入とキャリア形成の基盤を提供するものであるため、その求人が減少することは、労働者の生活の安定性に直接的な影響を与えます。特に若年層や新卒者にとって、正社員としての雇用機会が減少することは、キャリアのスタートにおいて大きな課題となる可能性があります。
滋賀県の労働市場におけるこのような動きは、地域経済全体にさまざまな影響を与えるでしょう。特に、求人倍率の低下は消費の低迷を招き、地域経済の活力を損なうリスクがあります。さらに、求人の減少が続く業種においては、企業の競争力が低下し、長期的には企業の撤退や縮小を余儀なくされる可能性もあります。これにより、地域社会全体が影響を受け、人口減少や税収の減少といった悪循環に陥るリスクが高まることが懸念されます。
このように、滋賀県の労働市場は、業種ごとに異なる動きを見せつつも、全体として厳しい状況に直面しています。地域経済の持続的な発展を図るためには、企業はより積極的な人材確保と、働きやすい環境の整備を進めることが求められます。また、行政や教育機関と連携し、地域に根付いた人材育成プログラムや労働者支援策を推進することが重要です。
⇒ 詳しくは滋賀労働局のWEBサイトへ