2024年10月8日
労務・人事ニュース
令和6年7月の生活保護受給者数、前年同月比で0.4%減少も申請件数は11.5%増加
被保護者調査(令和6年7月分概数)(厚労省)
厚生労働省が発表した令和6年7月分の生活保護に関する調査結果は、生活保護を受けている人々や世帯の最新の状況を詳細に伝えています。今回の調査結果によれば、被保護者数は総数で2,013,327人で、前年同月と比較して7,365人減少しました。これは0.4%の減少率に相当します。また、被保護世帯数は1,654,044世帯となり、前年同月と比べて3,552世帯増加し、0.2%の増加を示しました。このような増減の背景には、地域や経済状況に応じた複雑な要因があると考えられます。
生活保護の申請件数は25,235件で、前年同月比で2,608件、率にして11.5%の増加が見られました。また、保護開始世帯数も21,164世帯となり、前年同月比で2,230世帯、11.8%の増加となっています。これらの数字は、経済的な不安や生活の困窮を感じている人々が増加していることを示唆しています。
今回のデータでは、生活保護を受けている世帯の類型も分類されています。まず、高齢者世帯は909,721世帯で、全体の55.3%を占めています。前年同月と比べると1,192世帯減少しており、0.1%の減少率となっています。一方で、単身世帯は845,665世帯で、全体の51.4%を占め、前年同月と比較して1,606世帯、0.2%の増加が見られました。二人以上の世帯においては64,056世帯で、前年同月から2,798世帯減少し、4.2%の減少率となりました。
高齢者世帯以外の世帯は735,573世帯で、前年同月から4,571世帯、0.6%の増加となり、特に母子世帯は62,402世帯で、前年同月比で2,122世帯、3.3%の減少が確認されています。障害者・傷病者世帯は411,862世帯で、全体の25%を占め、前年同月比で3,283世帯、0.8%の増加が見られました。その他の世帯では、261,309世帯で、前年同月比で3,410世帯、1.3%の増加となっています。
このデータからは、高齢者世帯や単身世帯が生活保護を受ける割合が依然として高い一方で、特定の世帯類型において減少が見られる点が興味深いです。特に母子世帯の減少が目立っており、これには社会的な支援策や地域での支援体制の変化が影響している可能性があります。また、障害者や傷病者世帯が一定の増加を示していることから、これらの層への支援が今後さらに必要とされることが予測されます。
生活保護の申請件数や開始世帯数が増加している背景には、経済的な不安定さや雇用環境の変化が関係している可能性があります。特に新型コロナウイルスの影響が長引く中で、失業や収入減少を経験している家庭が多く、これが保護の申請増加につながっていると考えられます。経済の回復が進まない場合、今後さらに多くの人々が生活保護を必要とする状況が続く可能性があり、政府や自治体による支援体制の強化が求められるでしょう。
今回の調査では、被保護実人員数が減少した一方で、保護の申請や開始世帯数が増加していることが際立っています。これは、生活保護を受けるハードルが低くなったことや、情報の普及が進んだ結果、生活保護の申請が増加したことが要因と考えられます。さらに、地域ごとの経済的な格差や支援体制の差異も影響している可能性があります。
最後に、生活保護の受給者数や世帯数の推移を見守ることは、社会全体の福祉政策の改善につながる重要な要素です。今後も定期的なデータの公開や分析が行われることで、より効果的な支援策が講じられることが期待されます。今回の調査結果は、生活保護制度の現状を把握し、今後の政策改善のための基礎資料として役立てられるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ