2024年9月3日
労務・人事ニュース
令和6年7月 静岡県内の有効求人倍率、42か月連続1倍台を維持するも全国平均を下回る
職業安定業務月報(令和6年7月分)(静岡労働局)
静岡県内の最新の雇用情勢に関する報告は、特に有効求人倍率や職業別の有効求人状況に焦点を当てています。令和6年7月のデータによれば、静岡県の有効求人倍率は1.09倍となり、全国平均の1.24倍を下回る結果となりました。これは42か月連続で1倍台を維持しているものの、前年同月比で見ると減少傾向にあります。
具体的には、令和6年7月における有効求人数は61,262人で、前月比で0.1%の増加を示しましたが、有効求職者数は55,980人で、前月比で0.2%の減少となっています。このデータから、求人の増加に対して求職者数の減少が続いていることが分かります。特に正社員の有効求人倍率は0.98倍と、全国平均の0.99倍を若干下回っており、正社員の求人も減少傾向にあります。
地域別に見ると、東部地域の有効求人倍率は1.08倍、中部地域は1.15倍、西部地域は0.98倍となっています。これらの数値はいずれも前年同月比で減少しており、特に西部地域では1倍を下回る状況が続いています。また、職業別では、保安の職業や建設・採掘、介護関連の職業で高い有効求人倍率が見られる一方で、事務職や運搬・清掃・包装等の職業では低い倍率が続いています。
新規求人数についても、前年同月比で4.0%の減少が見られ、特に建設業や製造業、宿泊業・飲食サービス業などでの求人が増加したものの、運輸業・郵便業や卸売業・小売業、医療・福祉分野では減少が顕著です。新規求人数は22,123人となり、そのうち一般求人数は14,534人で、パート求人数は7,589人となっています。
また、事業所規模別に見ると、300~499人規模の事業所で新規求人が前年同月を上回ったものの、その他の規模では減少が続いています。新規求職者数も10,586人で、前年同月比で4.3%増加していますが、常用求職者の中でも離職者数が増加している点が特徴的です。特に事業主都合による離職者は15.2%増加しており、自己都合による離職者も増加傾向にあります。
人員整理については、令和6年7月には2件70人が報告されており、雇用保険に関しても、資格喪失者数や受給資格決定件数が前年同月比で増加しています。具体的には、資格喪失者数は16,045人で、前年同月比4.3%の増加、受給資格決定件数は3,248人で、前年同月比7.8%の増加が報告されています。
静岡県内の雇用情勢は、改善の兆しが見られる一方で、依然として弱さが残る状況です。特に物価上昇の影響が雇用市場に与えるリスクが懸念されており、今後の動向に注目が必要です。企業の採用活動においては、こうした状況を踏まえた柔軟な対応が求められています。
正社員求人不足が深刻化、静岡県の有効求人倍率が0.98倍に
静岡県の労働市場は、全国的な経済動向や地域特有の産業構造によって大きな影響を受けています。特に令和6年7月の雇用情勢を見ると、有効求人倍率が1.09倍で、全国平均の1.24倍を下回るなど、地域の雇用環境には依然として課題が残されています。この数値は、求人数の増加に対して求職者数が減少していることを反映しており、企業側が労働力を確保するのが難しくなっていることを示しています。
特に正社員の有効求人倍率が0.98倍と全国平均を若干下回っている点は、静岡県の労働市場における深刻な問題を示唆しています。これは、正社員を希望する求職者に対する求人の不足が続いていることを意味しており、特に若年層の定着やキャリア形成に影響を与える可能性があります。また、地域別に見ると、静岡県西部の有効求人倍率が0.98倍と1倍を下回っていることから、地域間での雇用機会の不均衡がさらに深刻化しています。
産業別に見ると、製造業や建設業などの伝統的な産業では求人が増加していますが、運輸業や小売業、医療・福祉などのサービス業では求人が減少している点も注目すべきです。これらの分野での求人減少は、地域経済の構造転換や人口動態の変化が背景にあると考えられます。特に医療・福祉分野では、高齢化の進展に伴う需要増加が予測される中での求人減少は、将来的な労働力不足を予感させます。
さらに、雇用保険に関連するデータでは、令和6年7月の資格喪失者数が前年同月比で4.3%増加しており、特に事業主都合による離職者数が23.4%増加しています。このようなデータは、静岡県内の企業が経営環境の変化に直面し、リストラや事業縮小を余儀なくされていることを示唆しています。これは、地域の経済活力にとって大きなマイナス要因となり得ます。
物価上昇の影響も無視できません。静岡県の雇用市場において、物価上昇は消費者の購買力を低下させ、企業の売上に直接的な影響を及ぼします。この結果、企業はコスト削減のために人員削減を行う可能性が高まり、それがさらに雇用市場に悪影響を及ぼす循環が生じる可能性があります。
静岡県の労働市場は、多くの産業が全国的な経済動向や地域固有の課題に直面しており、安定した雇用環境を維持するためには、企業や地域社会が一体となって取り組む必要があります。特に、若年層の雇用機会の拡大や、高齢化に対応した労働力の確保などが重要な課題となっています。今後の静岡県の労働市場は、これらの課題にどう対処するかが大きな鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ