2024年9月3日
労務・人事ニュース
令和6年7月 高知県の有効求人倍率が4か月ぶりに増加!14,343人の求人数に注目
高知県の雇用失業情勢(令和6年7月分)(高知労働局)
高知県の令和6年7月の雇用失業情勢に関する報告によれば、県内の雇用市場は引き続き改善の動きが見られるものの、物価上昇などの外部要因が影響を与えており、依然として注意が必要です。労働市場の主要指標である有効求人倍率は、1.08倍と前月から0.04ポイント増加し、4か月ぶりに増加に転じました。有効求人数は14,343人で、前月比2.0%の増加、一方で有効求職者数は13,271人で、前月から1.8%減少しました。この減少傾向は2か月連続で続いています。
新規求人倍率も1.96倍となり、前月から0.03ポイント増加しました。新規求人数は5,120人で、前月比0.3%増加し、2か月ぶりの増加となりました。これに対して、新規求職者数は2,611人で、前月比1.1%減少し、こちらも2か月連続での減少を記録しています。
正社員の有効求人倍率は0.85倍で、前年同月比で0.03ポイント増加しました。この指標からも、正社員の求人状況が若干改善していることが伺えますが、全体としては大きな変動は見られませんでした。産業別では、建設業が前年同月比30.0%の大幅増加を示し、医療・福祉分野でも12.4%の増加が見られます。これに対して、学術研究や専門・技術サービス業、生活関連サービス業、娯楽業では求人が減少しており、特に学術研究、専門・技術サービス業では35.4%減少しています。
7月の就職件数は813件で、前年同月比で4.8%増加し、9か月ぶりの増加となりました。就業地別の有効求人倍率は1.17倍で、前月から0.05ポイント上昇し、2か月連続での増加が確認されています。しかし、新規求人倍率は2.12倍で、前月から0.06ポイント減少し、2か月ぶりに減少に転じました。
全国的には、有効求人倍率は1.24倍で、4か月ぶりの増加を示していますが、高知県は全国で40番目の順位にとどまっています。高知県における雇用保険の被保険者数は190,892人で、前年同月比0.8%減少し、56か月連続での減少となりました。
この報告からは、地域によって求人の状況が大きく異なることが示されています。例えば、高知所の有効求人倍率は1.21倍と比較的高い水準にある一方、四万十所では0.75倍と低迷しています。また、新規求人数が建設業や医療・福祉で増加する一方で、学術研究や専門・技術サービス業、生活関連サービス業などでは大幅な減少が見られるなど、産業ごとの動向にも顕著な差異が見られます。
企業の採用担当者にとって、このようなデータは非常に重要です。特に、高知県の特定地域や産業における求人倍率の推移や新規求人数の増減は、採用計画を立てる際の参考情報として活用できるでしょう。雇用市場の動向を注視しつつ、適切な採用戦略を構築することが求められます。
高知県の建設業求人が30%増加、労働市場に及ぼす影響を分析
高知県の労働市場に影響を与える要因は、多岐にわたります。まず、物価上昇が企業の経営コストを押し上げていることが挙げられます。物価の上昇は企業にとってコスト増加を意味し、特に中小企業が多い地域では賃金引き上げの余裕が限られており、結果的に新規雇用の抑制や雇用条件の見直しが必要となる場合があります。これは求人倍率や求人数にも影響を与え、全体の雇用情勢を圧迫する要因となり得ます。
次に、産業構造の変化が影響しています。高知県では、建設業や医療・福祉分野が求人の増加を見せている一方で、学術研究や専門・技術サービス業、生活関連サービス業などでは減少が見られます。特に建設業では前年比で30.0%の求人増加が見られる一方、学術研究や専門・技術サービス業は35.4%減少しており、産業ごとの需要と供給の不均衡が顕著になっています。これらの変化は、地域の労働者が求められるスキルや知識の変化を示唆しており、従来の雇用形態や職種に依存している労働者が新たな分野に適応することが求められています。
さらに、地域の経済規模と人口動態の変化も大きな影響を及ぼしています。高知県は全国でも有効求人倍率が低めの水準にあるため、地域外からの労働力流入が少なく、地元での労働力確保が困難です。また、少子高齢化の進行により、若年層の労働力が減少し、地域全体での労働供給が縮小しています。この状況は特に医療・福祉分野で顕著であり、高齢者向けサービスの需要が高まる一方で、これを支える労働力の不足が深刻化しています。
地域の雇用対策として、地方自治体や企業が連携して労働力の確保に努めることが重要です。具体的には、職業訓練や再教育プログラムの充実、地域への移住促進と定住支援の強化、さらには企業の働き方改革を通じて労働環境を改善し、働きやすい職場を増やすことが求められます。また、地元の大学や専門学校と企業が連携し、産業ニーズに合った人材を育成することも、労働市場の安定化に寄与するでしょう。
最後に、全国的な経済情勢も無視できない要因です。全国での有効求人倍率が上昇している中、高知県が依然として全国で40番目の順位にとどまっていることは、地域経済の活性化が他地域に比べて遅れている可能性を示唆しています。これに対処するためには、県外からの企業誘致や観光業の強化、地場産業の活性化を通じて、地域経済の基盤を強化することが必要です。これにより、新たな雇用機会が創出され、地域の労働市場に活力が戻ることが期待されます。
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ