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2024年12月13日

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令和6年7~9月期 製造業での利益減少15%が示す国際サプライチェーンの課題

法人企業統計調査(令和6年7~9月期)(財務省)

令和6年7~9月期における法人企業統計調査の結果が発表され、日本の経済活動の多角的な動向が明らかになりました。この調査は、資本金1,000万円以上の法人企業を対象にしており、製造業と非製造業の両分野における業績が分析されています。特に注目されるのは、売上高、経常利益、設備投資の増減率における詳細な動向で、これらの数値は日本経済の現状と将来を読み解く上で重要な指標となっています。

今回の統計によれば、全産業の売上高は前年同期比で2.6%増加し、総額で377兆2,965億円に達しました。製造業では9.2%の増加が見られた一方で、非製造業の売上高は4.6%の増加に留まりました。特に注目すべきは情報通信業の成長率で、7.0%の増加を記録しており、デジタル化の進展がこの分野を牽引していることが窺えます。一方で、卸売業や小売業は2.7%減少しており、消費者行動の変化や物価の上昇が影響している可能性があります。

経常利益に関しては、全体で▲3.3%の減少となり、総額は23兆124億円でした。この中で製造業は▲15.1%の大幅な減少を記録しており、特に金属製品や業務用機械などの分野で顕著な影響が見られました。一方、非製造業は全体として4.6%の増加を示し、運輸業や郵便業、サービス業が利益を押し上げる要因となりました。サービス業は8.6%の増加を記録し、観光業やエンターテイメント関連の回復が寄与したと考えられます。

設備投資については、全産業で8.1%増加し、総額は14兆9,102億円に達しました。製造業では2.8%、非製造業では2.5%の増加が見られ、特に建設業での投資が顕著でした。情報通信業では21.0%の増加が記録されており、これは5G関連技術やデジタルインフラの整備が進展していることを示しています。一方で、石油・石炭関連の投資は▲157.2%という大幅な減少となり、エネルギー分野での投資縮小が明らかです。

この調査結果から、製造業と非製造業のパフォーマンスに明確な差があることが分かります。製造業は依然として国際的なサプライチェーンの影響を強く受けており、円安や原材料価格の高騰が課題となっています。一方で、非製造業では国内需要の回復が見られるものの、業種ごとに成長のばらつきがあるのが現状です。情報通信業やサービス業は堅調に推移している一方で、不動産業や卸売業などでは成長が鈍化しています。

また、資本金規模別に見ると、10億円以上の企業は売上高と利益の両面で顕著な成長を遂げているのに対し、1億円から10億円未満の中堅企業では成長率が鈍化しています。このことは、企業規模による経営リソースや市場の差異が業績に影響を与えていることを示しています。

今回のデータは日本経済の現状を包括的に示しており、特に政策決定や投資戦略の立案において重要な指針となります。調査結果を元に、各業界がどのように成長戦略を描いていくのかが、今後の経済の行方を左右するでしょう。

⇒ 詳しくは財務省のWEBサイトへ

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