2024年8月7日
労務・人事ニュース
令和6年8月からの雇用保険基本手当日額改定、失業給付の支給額が上限額まで引き上げ
令和6年8月1日からの基本手当日額等の適用について(厚労省)
厚生労働省は、令和6年8月1日より、雇用保険の基本手当日額の変更を実施します。この改定により、離職者が受け取る基本手当の日額が調整され、特に賃金日額の上限と下限に影響が出ます。この変更は、賃金日額に基づいて基本手当日額を算定する仕組みの一環として行われます。賃金日額は、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減に応じて設定されており、これに基づいて基本手当日額も変動します。
基本手当日額の下限額は、年齢に関係なく、2,295円に統一されます。この変更は、失業給付の受給者全員に適用されるもので、支給額が増減する可能性があります。例えば、29歳以下の受給者で賃金日額が17,000円の人の場合、新しい上限額が適用されるため、基本手当日額は7,065円となります。
具体的な変更点を見てみると、賃金日額と基本手当日額の上限額および下限額が年齢別に設定されています。29歳以下の離職者の場合、賃金日額の上限額は14,130円となり、基本手当日額の上限額は7,065円に設定されます。30歳から44歳の離職者に対しては、賃金日額の上限額が15,690円、基本手当日額の上限額が7,845円に引き上げられます。45歳から59歳の離職者の場合、賃金日額の上限額が17,270円、基本手当日額の上限額が8,635円となります。60歳から64歳の離職者については、賃金日額の上限額が16,490円、基本手当日額の上限額が7,420円に設定されます。
就業促進手当の支給額も変更されます。例えば、基本手当日額の30%が支給される就業手当について、その上限額が引き上げられます。再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当の算定においても同様に、基本手当日額の上限額が改定されます。これにより、受給者が再就職した際の支援額が増えることになります。
さらに、高年齢雇用継続給付についても変更があります。令和6年8月1日以降の支給対象期間から、支給限度額が370,452円から376,750円に引き上げられます。支給対象月に受け取った賃金額が支給限度額を超える場合、高年齢雇用継続給付は支給されません。また、支給対象月に支払われた賃金額と高年齢雇用継続給付の合計額が支給限度額を超える場合、その差額が支給額となります。最低限度額も2,196円から2,295円に引き上げられ、これを下回る場合は支給されません。
育児休業給付や介護休業給付の支給限度額も同様に引き上げられます。例えば、育児休業給付の上限額は、支給率67%の場合289,466円から294,344円に、支給率50%の場合231,450円から235,350円にそれぞれ引き上げられます。介護休業給付については、上限額が341,298円から347,127円に引き上げられます。
これらの変更は、受給資格者の年齢や賃金日額に基づいて詳細に計算されます。30歳以上45歳未満の受給資格者に対しては、賃金日額が2,869円以上5,200円未満の場合、基本手当日額は賃金日額の80%となります。賃金日額が5,200円以上12,790円以下の場合は、基本手当日額は賃金日額の80%から50%の範囲で計算されます。12,790円を超える場合は、基本手当日額は賃金日額の50%となります。これに対し、60歳以上65歳未満の受給資格者に対しては、賃金日額が5,200円以上11,490円以下の場合、基本手当日額は賃金日額の80%から45%の範囲で計算されます。11,490円を超える場合は、基本手当日額は賃金日額の45%となります。
これらの改定は、失業者や離職者の生活を支援し、再就職を促進するための重要な施策です。賃金日額や基本手当日額の引き上げにより、受給者がより安定した生活を送りながら、次の職を見つけるための時間を確保できるようになります。また、就業促進手当や高年齢雇用継続給付の支給額の引き上げは、再就職活動や高年齢者の雇用継続を支援するための大きな後押しとなります。
失業給付の受給資格者証には、新しい基本手当日額が印字され、対象者に通知されます。変更内容をよく確認し、自分の受給額がどのように変わるかを把握することが重要です。厚生労働省やハローワークでは、これらの変更に関する詳細な情報を提供しており、不明な点があれば問い合わせることができます。
今回の改定は、経済状況の変化に対応し、受給者の生活を安定させるためのものであり、雇用保険制度の一環として重要な役割を果たしています。受給者は、これらの変更を理解し、自分に適した支援を受けるために必要な手続きをしっかりと行うことが求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ