2024年10月30日
労務・人事ニュース
令和6年8月の建設業出来高は4兆円超、前年同月比で12.9%増加!民間・公共部門ともに堅調な成長を示す
建設総合統計(令和6年8月分)(国交省)
令和6年8月に発表された建設総合統計によると、8月の建設業における出来高総計は4兆円を超え、前年同月比で約12.9%の増加を記録しました。この出来高の増加は、公共および民間部門の両方での活発な建設活動に起因しています。特に、民間部門では、全体の出来高が2兆円に達し、前年同月比で約0.9%の増加を示しました。民間建設においては、居住用建物の建設が好調で、これが業界全体の成長に大きく寄与しています。一方、公共部門でも1兆円を超える出来高があり、こちらも前年比で約3.2%の増加を見せています。
具体的な分野別のデータを見ると、民間部門の建築分野で最も大きな割合を占めているのが居住用建物の建設です。民間の居住用建物の出来高は、全体で約1兆円に達し、建設業全体の活性化に寄与しています。また、非居住用建物や土木分野でも一定の増加が見られましたが、特に居住用建物の需要が高まっていることが明らかです。これは、都市部での住宅不足や、地方移住の促進政策が影響していると考えられます。
公共部門でも同様に、建築分野の活発化が見られます。特に、公共の土木工事の出来高が顕著であり、約1兆円に達しました。これは、インフラ整備や地域活性化を目的とした公共事業が活発に行われている結果です。政府は地方の活性化を進めるためのインフラ整備に多額の予算を投じており、これが今後も継続的に増加する可能性があります。特に、地方の交通インフラや防災関連の工事が今後も重要な役割を果たすと見られています。
建設総合統計は、毎年の建設投資額の実績に基づき算出され、毎月の公表時に修正が加えられることがあります。これにより、過去数年間にわたるデータも遡及して修正されることがあり、今回の数値も将来的に再修正される可能性があるため、最新版の統計を確認することが推奨されます。
また、この建設総合統計のデータには、四捨五入が適用されており、億円単位での表示がされています。これにより、各分野の合計金額が必ずしも一致しない場合があるため、細部までの分析が求められることになります。
建設業の出来高推移を年度ごとに比較すると、近年は安定した成長を維持していることが確認できます。特に、2019年度から2024年度にかけては、年々出来高が増加しており、これが業界全体の成長を後押ししています。このような安定した成長は、建設業界にとっても明るい展望を示しており、今後も多くのプロジェクトが計画されていることから、さらなる成長が期待されます。
一方で、建設業界が直面する課題もいくつか存在します。まず、労働力不足が深刻な問題となっており、特に高齢化が進む中で若年労働力の確保が重要な課題とされています。これに対して、業界では技術革新や生産性向上を目指す取り組みが進められています。例えば、建設現場でのロボット技術やAIの導入が一部の現場で進んでおり、これにより効率的な作業が可能となることが期待されています。また、政府も労働力不足を補うための政策を打ち出しており、技能実習生の受け入れや働き方改革の推進が重要な施策とされています。
さらに、建設資材の価格上昇も業界全体に影響を与えています。特に、コンクリートや鉄鋼などの主要な建材の価格が上昇しており、これが建設コストの増加に直結しています。このため、建設業者はコスト削減のための取り組みを強化しており、効率的な資材の調達や再生可能エネルギーの活用が進められています。
総じて、令和6年8月の建設総合統計は、業界全体が堅調な成長を続けていることを示しています。特に民間部門の居住用建物の建設が好調であり、これが業界全体の成長を牽引しています。また、公共部門でも土木工事が活発化しており、これがインフラ整備や地域活性化に貢献しています。しかし、労働力不足や建設資材の価格上昇といった課題も存在しており、これに対して業界全体がどのように対応していくかが今後の鍵となります。
このデータは、採用担当者にとっても有益な情報を提供します。例えば、建設業界が今後も成長を続けることが予測される中で、新たな人材の確保が求められているため、今後の採用計画に反映させるべきポイントとなるでしょう。特に、技術革新や効率化が進む中で、ITスキルを持つ人材や、効率的なマネジメントができる人材の需要が高まると予想されます。これに伴い、労働市場の動向や業界全体の成長を踏まえた採用戦略が重要となるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ