2024年11月22日
労務・人事ニュース
令和6年8月の病院データ分析で見える稼働率の変動、一般病床は75.3%の利用率
病院報告(令和6年8月分概数)(厚労省)
令和6年8月の医療施設のデータから、病院と診療所における患者数や病床利用率、平均在院日数の状況について詳しくまとめます。各種の医療施設が提供するデータに基づき、施設の利用状況や患者の滞在期間の変動などが確認できました。
まず、1日平均患者数について見ていきます。8月の平均的な患者数は、一般病床で高い数値を記録し、精神病床や結核病床、療養病床もそれぞれ一定の患者数を有していることがわかりました。このデータは各月間における患者の変動も示しており、7月や6月の数値と比較して微増や微減があることが見られます。例えば、一般病床では8月に対して7月はわずかながら減少しており、これは季節的な要因や感染症の流行状況が影響している可能性があります。
次に月末の病床利用率です。病床利用率は各月末の在院患者数をもとに算出され、病床の稼働率を示す重要な指標とされています。一般病床の利用率は、8月時点で前月よりもやや低下しており、77.9%から75.3%に減少しました。この数値は、施設全体の稼働状況を示すだけでなく、患者の入退院のサイクルや病床管理の適切さも反映しています。感染症病床については、利用率がさらに低く、8月は13.1%と特に低い稼働率を示しました。このことは、感染症の拡大が抑制されたことや、病床が確保されているものの利用が少ない状況を示しているかもしれません。精神病床や結核病床もそれぞれ異なる傾向を示しており、療養病床の利用率は相対的に高く、84.9%から85.1%へと微増しています。
さらに、患者の平均在院日数に関しても注目するべき点がいくつかあります。一般病床の平均在院日数は、8月時点で25.4日と安定しており、これにより急性期の患者対応が求められる一般病床において、早期の退院促進や入院日数の短縮が実施されていることがわかります。感染症病床では8.9日と短期化されている一方で、精神病床や結核病床、療養病床の在院日数は比較的長く、特に療養病床では平均118.9日となっています。この長期の在院期間は、慢性疾患や高齢者ケアなど、長期療養が必要な患者が多く入院していることを反映しています。
一方で、診療所における月末の病床利用率や平均在院日数も興味深いです。診療所の月末病床利用率は40.3%と低めですが、これは入院設備がある診療所が限られていることや、比較的軽度の患者が通院しているためと考えられます。診療所の平均在院日数は8月に103.0日で、これは医療施設のなかでも最も長い平均日数を示しています。入院患者の一部は慢性的な治療やリハビリなどが必要とされることが要因であると推測され、地域に根ざした医療提供が行われている一例です。
このようなデータから、医療施設における患者の在院日数や病床利用状況の把握は、医療サービスの質や運営効率に直結する重要な要素であることが理解できます。各施設の稼働状況を継続的にモニターし、適切な対応が取られることで、医療資源の効果的な配分が促進され、患者の健康回復が効率よく達成されることが期待されます。医療従事者や施設管理者にとって、こうした統計情報の分析とその活用は、今後の医療施策や病院運営方針の策定において不可欠なものとなります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ