2024年10月11日
労務・人事ニュース
令和6年8月 三重県の有効求人倍率1.16倍、正社員求人減少傾向も依然高い求人需要
一般職業紹介状況(令和6年8月内容)(三重労働局)
三重県の労働市場は、全国平均と比較しても特異な動きを見せており、地域ごとの求人倍率や求職者数の変動が注目されています。令和6年8月時点の三重県における一般職業紹介状況をもとに、県内の雇用情勢について詳しく見ていきます。
まず、有効求人倍率は1.16倍となっており、前月からの変動は見られないものの、全国平均の1.23倍と比較するとやや低い水準にあります。三重県は全国順位で32位という位置付けであり、地域的に見ても求人倍率は低迷しています。一方で、就業地別に見ると1.36倍と若干高めであり、こちらも前月から0.01ポイント下回るものの、依然として1.3倍以上の水準を保っています。全国順位で23位となっており、県内の就業地における求人倍率が比較的高めであることがわかります。
新規求人倍率に関しては、2.02倍で前月を0.05ポイント下回る結果となりました。新規求人数も減少傾向にあり、求人の動きにはやや鈍さが感じられます。県内の雇用情勢全体として、求人が求職を上回っているものの、求人の動きが鈍化していることが課題となっています。
令和6年8月時点では、有効求人数は29,426人で前月比0.1%(25人)減少しました。一方、有効求職者数は25,318人で、同じく0.3%(84人)減少しています。この結果、有効求人倍率は1.16倍と、前月と同じ水準を維持しています。新規求人数は9,829人で、前月比7.8%(832人)減少し、新規求職申込件数も4,876件で5.2%(267件)減少しました。このように、求人数と求職申込件数の両方で減少が見られ、求人倍率の低下が続いています。
産業別の新規求人動向を分析すると、宿泊業・飲食サービス業や医療・福祉業の求人数が特に減少していることが明らかです。例えば、宿泊業・飲食サービス業は前年同月比で21.5%(177人)の減少、医療・福祉業も12.4%(321人)の減少を記録しています。一方で、教育・学習支援業は前年同月比で50.0%(37人)の増加を見せており、産業ごとに異なる動きがあることがわかります。8月の雇用情勢は前年同月比で求人数が増加した7月とは対照的に、多くの主要産業で求人の減少が見られました。
新規求職申込件数に関しては、4,409件で前年同月比12.1%(606件)減少しており、2か月ぶりに減少しました。また、新規常用求職者数も4,375人で前年同月比12.3%(612人)の減少を記録しています。このように、求職者の減少が続いていることが、県内の雇用情勢に一定の影響を与えています。
求職者の動向を態様別に見てみると、特に在職者と無業者の求職申込件数が減少しています。在職者は前年同月比16.8%減の1,178人、無業者は17.7%減の376人となっており、いずれも大幅な減少を記録しています。離職者に関しても2,821人で前年同月比9.4%減少しており、離職者全体の減少が見られます。事業主都合離職者は11.5%減少し578人、自己都合離職者も8.3%減少し2,027人となっており、定年退職者も10.7%減少の159人でした。
安定所別の有効求人倍率も地域差が顕著です。松阪を除く8つの安定所では前年同月比で求人倍率が下回る結果となり、特に桑名、伊賀、熊野の3つの地域では1倍を下回る低い求人倍率となっています。
さらに、正社員の求人・求職状況も注目すべき点です。令和6年8月時点で、正社員の有効求人数は13,202人で前年同月比5.7%(791人)の減少、有効求職者数も14,024人で2.5%(353人)の減少を記録しました。正社員の有効求人倍率は前年同月を0.03ポイント下回り、0.94倍となっており、正社員雇用の回復が鈍化していることが伺えます。
このように、三重県の労働市場は、新規求人や求職の動向において全体的に減少傾向にあり、特に主要産業における求人数の減少が目立っています。今後の雇用情勢の回復には、各産業ごとの課題に対応した政策が求められるでしょう。
⇒ 詳しくは三重労働局のWEBサイトへ