2024年9月24日
労務・人事ニュース
令和6年8月 中国地域 雇用市場、求職者数134%増加 自動車関連業界が採用強化
令和6年8月調査(令和6年9月9日公表):景気ウォッチャー調査 中国(内閣府)
中国地域の景気ウォッチャー調査によると、2024年8月の経済状況は、地域全体で一定の回復が見られた一方で、業種によってはまだ不安定な要素が残っていることがわかります。特に小売業や飲食業などの消費者を相手にする業界では、売上の微増が報告されているものの、猛暑や物価の上昇が影響し、消費者の動きには慎重さが残っています。具体的には、スーパーやレストランといった業種では、売上や来客数が前年よりも増加傾向にあることがわかりますが、特にお盆休みの長期化や南海トラフ地震に対する備蓄需要の高まりが、これらの業界の業績を押し上げているようです。
飲食業界では、お盆の連休期間中に多くの顧客が訪れたことが今月の売上を支える要因となり、特に平日夜の利用が増加していると報告されています。また、金曜日から週末にかけてはランチタイムの利用が増えるなど、曜日によって消費者の動きが変化している点も注目されます。一方で、百貨店や家電量販店といった大型商業施設においても、1人あたりの売上が微増しているものの、全体的な来客数は前年をわずかに上回る程度に留まっています。
スーパー業界では、お盆休み期間中の来客数や売上が前年を上回り、特に備蓄需要が販売量の増加に寄与しているとされています。地震に備えた水や食料品の購入が増加し、これが売上全体を押し上げる要因となっています。米の不足や災害に対する備蓄意識の高まりも、特定の商品に対する需要を高めており、これが販売量の増加を支える大きな要素となっています。しかし、来客数の微増に対して、物価上昇による購入点数の減少が報告されており、全体的な客単価には頭打ち感が見られます。
その他、衣料品専門店や和菓子の専門店でも、価格よりも品質を重視する消費者が増えてきているとの報告があり、高級品やインバウンド需要が一部回復しているようです。しかし、消費者の動きが必ずしも安定しているわけではなく、政治や経済の先行きに対する不安から、消費者心理は慎重なままです。特に、夏のボーナスが支給された後も消費の伸びが限定的であることから、景気回復が本格化するにはまだ時間がかかるとの見解もあります。
観光業においては、8月の長期休暇中に来客数が増加し、特に家族連れが川遊びを目的に観光型ホテルを訪れるなど、施設の需要が高まっています。猛暑の影響でアウトドア需要が伸びている一方で、都市型ホテルやタクシー業界では、暑さや台風の影響により客足が鈍くなることも報告されています。また、飲食業界では、コロナウイルスの感染拡大が収束したことによる外出機会の増加が売上に寄与しているとされ、景気は緩やかに回復傾向にあると見られています。
企業動向を見てみると、輸送用機械や繊維工業、一般機械器具製造業などの製造業では、受注量や販売量が増加しており、特に輸出関連の業績が好調です。為替の影響もあり、輸出製品の売上が拡大していることがわかります。しかし、鉄鋼業や窯業、非鉄金属製造業といった業界では、景気が低調に推移しているため、全体的な回復にはまだ課題が残っています。
建設業においては、資材価格の上昇や労働力不足などの問題が続いており、特に2024年問題と呼ばれる課題への対応が企業にとって大きな負担となっています。注文住宅よりもすぐに入居可能な建売住宅の需要が高まっているものの、コストの上昇が収益に与える影響が懸念されています。不動産業界でも、来客数や成約件数は横ばい状態が続いており、景気の回復を見込む声はあるものの、慎重な動きが続いている状況です。
雇用動向に関しては、人材紹介業や派遣業界において求職者数が増加し、企業の採用意欲も高まっています。特に自動車関連産業では、業績が好調であり、人材への投資に積極的な企業が目立ちます。一方で、求人広告の掲載数や新規求人の受理件数が減少している業種もあり、全体的な人手不足感は依然として強いものの、賃金の上昇や物価高が企業の採用活動に影響を与えていることがわかります。
全体として、中国地域の経済は徐々に回復しているものの、業界ごとの課題が残る複雑な状況が続いています。消費者動向や物価上昇、天候や災害といった外的要因が企業活動に影響を及ぼしているため、今後の経済動向を注視する必要があります。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ