2024年10月11日
労務・人事ニュース
令和6年8月 兵庫県の有効求人倍率1.02倍!求人数81,350人で前月比0.5%増加
一般職業紹介状況(令和6年8月分)(兵庫労働局)
兵庫県の最新の雇用情勢について、令和6年8月分のデータを元に解説します。兵庫県の有効求人倍率は1.02倍となり、前月と比較して0.01ポイント上昇しました。県内の有効求人数は81,350人で、前月比0.5%の増加が見られます。一方、有効求職者数は79,852人で、前月と比較して0.3%の減少を示しています。このようなデータから、県内の雇用状況は安定的に推移していると考えられますが、依然として経済状況の影響を受けている部分も見逃せません。
新規求人倍率は1.87倍で、こちらも前月から0.01ポイントの上昇が見られ、3か月連続の上昇を記録しています。この倍率は企業が求める労働者数に対して、新規に仕事を探している求職者数がどれだけいるかを示しており、1倍を超える状態が続いていることから、求人に対して応募が不足していることがうかがえます。新規求人数は28,622人で、前月比3.6%の増加、新規求職者数は15,268人で、前月比3.0%増加しており、3か月ぶりに増加に転じました。
業種別に見ると、製造業や建設業では求人が依然として堅調である一方、情報通信業やサービス業では前年比で減少が見られる状況です。特に製造業は、地域経済の中核を担う業種の一つとして、引き続き安定した需要が見られます。具体的には、製造業における新規求人数は2,681人で、前年同月比4.8%減少したものの、依然として安定した求人が続いています。特に、プラスチック製品や電子部品、機械器具製造業などは求人が多く出されており、これらの分野での人材需要は高いといえるでしょう。
一方、サービス業における求人は一部で減少傾向が続いており、特に宿泊業や飲食サービス業などの一部では、求人が前年比で減少しています。この背景には、コロナ禍からの回復に伴う需要変動や、地域ごとの観光客数の増減が影響している可能性があります。しかし、全体としては観光業が再び活発化しつつあることから、今後の動向にも注目が集まります。
兵庫県の有効求人倍率は、全国平均と比較してもやや高い水準にあります。例えば、令和6年8月時点での全国平均の有効求人倍率は1.02倍であり、兵庫県も全国平均と同じ水準にあります。ただし、地域別に見ると、神戸市や阪神地域では他の地域に比べて求人倍率が高くなっており、特に正社員の求人倍率が高い地域では、人手不足の深刻さが浮き彫りになっています。これは大都市圏における人材確保が難しい状況を反映しており、今後も企業側の採用戦略が重要となるでしょう。
また、地域別に見た際には、淡路地域や丹波地域、但馬地域などの一部では、求人倍率が全国平均を下回る状況も見られます。これらの地域では、特に若年層の定着率を向上させるための施策が必要とされています。特に、農業や観光業など地域の主要産業における求人が増えている一方で、これらの産業に従事する人材が不足しているため、今後の取り組みが期待されています。
雇用情勢の持ち直しが進む中で、物価上昇やエネルギー価格の変動など、企業経営に影響を与える要素も依然として多く、これが雇用状況に与える影響にも注視が必要です。特に、中小企業や製造業を中心に、コスト増が雇用に与える影響を緩和するための政策支援が求められています。県内では、労働力不足に対する取り組みとして、ハローワークや地域の労働市場と連携した職業紹介サービスの強化が進められています。これにより、求人と求職のマッチングをスムーズに進め、求職者が安心して仕事に就けるような環境作りが進められています。
以上のように、兵庫県の雇用情勢は全体として安定しているものの、地域差や業種ごとの違いが顕著に現れています。特に、今後の経済動向や政策支援の内容によって、さらなる雇用の改善が期待されます。企業の採用担当者にとっては、地域ごとの求人倍率や求職者数の動向をしっかりと把握し、適切な人材確保のための対策を講じることが重要です。
⇒ 詳しくは兵庫労働局のWEBサイトへ