2024年10月9日
労務・人事ニュース
令和6年8月 北海道の雇用情勢に黄色信号!求人倍率が0.94倍に、企業の採用力強化が急務
令和6年8月の雇用失業情勢について(北海道労働局)
北海道労働局が発表した最新のデータによると、令和6年8月の北海道における雇用情勢は、求人・求職の両面で依然として厳しい状況が続いています。まず、雇用失業情勢に関して、有効求人倍率は0.94倍となっており、前年同月の1.01倍から0.07ポイントの低下が見られました。新規求人数は26,466人で、前年同月比で6.7%減少し、月間有効求人数も78,877人と7.8%減少しました。これは、18か月連続で新規求人数が前年同月を下回っていることから、求人市場の冷え込みが継続していることを示しています。
業種別の状況を詳しく見ると、建設業においては3,042人の新規求人があり、前年同月比で0.5%の増加が見られましたが、製造業では1,770人の求人にとどまり、前年同月比で5.5%の減少となりました。特に食料品製造業は10.9%減少しており、全体として6ヶ月連続で前年同月を下回る結果となっています。また、情報通信業でも515人と前年同月比で1.9%減少しましたが、情報処理サービス業では7.9%の増加が見られ、業種間での求人状況にばらつきがあることが分かります。
さらに、求職者側の動向として、新規求職申込件数は13,531人で、前年同月比で10.9%減少しました。特に目立つのは、求職申込者数の減少が続いていることで、これは2か月ぶりの前年同月比での減少となります。月間有効求職者数も84,311人とわずか0.6%の減少ですが、5か月ぶりに前年同月を下回りました。このデータからは、北海道内での労働市場が非常に流動的であること、特に一部業種において求人が減少し、求職者の数も減少していることが読み取れます。
道内の業種別で見ると、建設業では総合工事業や設備工事業が堅調に推移している一方で、製造業においては金属製品製造業は31.8%の増加が見られたものの、食料品製造業では依然として厳しい状況が続いています。運輸業、郵便業でも前年同月比でわずか0.1%の減少となり、全体として雇用情勢は持ち直しの兆しが見えにくい状況です。これに加えて、卸売業や小売業も同様に減少傾向が続いており、飲食料品卸売業では24.1%、飲食料品小売業では19.8%の減少が見られました。
宿泊業や飲食サービス業においても依然として厳しい状況が続いており、宿泊業では0.8%の増加が見られたものの、飲食店に関しては4.9%の減少となりました。持ち帰り・配達飲食サービス業も4.2%の減少が続き、全体として12か月連続で前年同月を下回る結果となっています。このように、観光業が大きな影響を受けている北海道の産業は、観光需要の低迷や消費行動の変化により厳しい状況が続いています。
一方、医療や福祉分野では8,071人の新規求人がありましたが、前年同月比で6.6%減少しています。特に社会福祉や介護事業では5.4%の減少、医療業においても8.7%の減少が見られ、これらの分野でも人材確保が課題となっています。サービス業においても、職業紹介業や労働者派遣業は8.5%の減少、その他の事業サービス業は19.1%の減少が報告されており、依然としてサービス業全般における低調さが目立ちます。
これらのデータから、北海道の雇用市場は厳しい状況が続いており、物価上昇や観光業の低迷、さらには一部産業における求人の減少が大きな要因となっています。特に冬季の需要が影響する北海道では、季節要因による影響が大きく、今後の改善には観光需要の回復や産業構造の多様化が求められます。これに加えて、道内の労働市場では正社員の有効求人倍率が依然として低迷しており、特に専門的・技術的職業では求人倍率が1.50倍と前年同月比で0.02ポイントの低下が見られました。
企業にとって、これらの状況は採用戦略に大きな影響を与えると考えられます。求人倍率の低下や求人数の減少が示すように、労働力の確保がますます難しくなることが予測されるため、採用活動の強化や多様な人材採用手法の導入が求められます。北海道の労働市場における厳しい現状を踏まえ、企業は人材確保のための戦略を再考し、特に業界ごとの動向に合わせた柔軟な採用計画を立てることが重要です。
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ