2024年10月10日
労務・人事ニュース
令和6年8月 千葉県の最新雇用状況 有効求人倍率0.98倍、新規求人倍率2.05倍の背景とは?
最近の雇用失業情勢(令和6年8月分)(千葉労働局)
千葉県内の雇用状況は、依然として持ち直しの兆しが見えるものの、物価上昇や経済的な不確実性が影響を及ぼしており、弱さも見られます。千葉労働局の最新データによると、令和6年8月の有効求人倍率は0.98倍で、前月と同じ水準を維持しています。新規求人倍率は2.05倍となり、前月から0.16ポイント上昇しましたが、有効求職者数も前月比で0.5%増加しています。これに伴い、就業地別の求人倍率は1.22倍で、前月比0.01ポイントの微減となりました。
求人動向について詳細を見ていくと、有効求人数は前月比0.6%の増加を示し、正社員の有効求人倍率は0.76倍で、前年同月から0.01ポイントの減少となっています。これは、企業が引き続き正社員の採用には慎重である一方で、パートや派遣など非正規雇用を通じての人材確保が進んでいる現状を反映しています。また、新規求人数は前月比で7.3%増加しており、特に宿泊業や飲食サービス業では前年同月比で29.9%の増加が見られています。これは観光業やサービス業が回復基調にあることを示しており、経済活動が徐々に正常化している兆しといえます。一方で、卸売業や小売業では前年同月比で37.3%減少しており、依然として業界によっては厳しい状況が続いていることが伺えます。
求職者の動向についても注目すべき点がいくつかあります。令和6年8月の有効求職者数は前年同月比で0.0%の減少を示し、新規求職者数は8.4%の減少を記録しました。これは、求職者の数が減少していることを意味しており、特に新規求職者数の減少は、企業にとっては採用活動が一層厳しくなる可能性を示唆しています。新規求職者の減少は、働き口の選択肢が限られる中で求職活動を控える傾向があることを反映していると考えられます。特に離職者数が減少傾向にあるため、既に職についている人々が職を離れずに安定を求める動きが強まっているといえるでしょう。
さらに、雇用保険の受給者数も注目すべき指標です。令和6年8月の雇用保険受給者実人員は19,404人で、前年同月比で3.3%の減少が見られました。これは、労働市場における失業者の減少を示しており、雇用の回復基調が続いていることを意味しています。雇用保険の受給資格決定件数も前年同月比で6.8%減少しており、雇用環境が改善しつつあることが窺えます。
全国的な動きと比較すると、千葉県の雇用情勢はやや厳しいものの、全国平均と大きな差はない状況です。全国平均の有効求人倍率は1.23倍で、前月比0.01ポイントの低下、新規求人倍率は2.32倍で、前月比0.10ポイントの上昇が見られます。これに対して千葉県の有効求人倍率はやや低いものの、新規求人倍率は全国平均と比較しても遜色ない水準にあります。つまり、千葉県内では新規求人が増加している一方で、全体的な雇用の需要と供給のバランスは他地域と同様の傾向を見せています。
産業別に見た場合、情報通信業や宿泊業、飲食サービス業が雇用の増加を牽引している一方で、製造業や卸売業、小売業では厳しい状況が続いています。特に、卸売業と小売業では前年同月比で大幅な減少が見られており、これはコロナ禍以降の消費者行動の変化や、オンラインショッピングの普及による影響が大きいと考えられます。これに対して、宿泊業や飲食サービス業では、観光需要の回復や外出自粛の緩和に伴い、求人が活発化しています。これらの業界では、今後も求人の増加が続く可能性が高いと予測されています。
企業にとっては、こうした雇用情勢を踏まえた戦略的な採用活動が必要不可欠です。特に、宿泊業や飲食業のように需要が高まっている業界では、採用のタイミングを逃さないことが重要です。また、正社員の採用が難しい場合には、パートタイムや派遣社員を効果的に活用するなど、柔軟な採用方針を持つことが競争力の維持に繋がります。
さらに、千葉県内の労働市場では、企業が人材を確保するための新たな施策が求められています。例えば、テレワークやフレックスタイム制を導入することによって、より多様な働き方を提供し、求職者にとって魅力的な企業となることが期待されます。また、従業員のスキルアップを支援する研修制度やキャリア開発プログラムの充実も、求職者の応募を促すための有力な手段となるでしょう。
以上のように、千葉県の雇用情勢は回復基調にあるものの、業界や地域によっては依然として厳しい状況が続いています。企業はこの動向を把握し、適切な採用活動を行うことが、今後の成長に向けた重要なポイントとなるでしょう。
⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ