2024年10月9日
労務・人事ニュース
令和6年8月 宮城県の有効求人倍率1.22倍に停滞、新規求人は5.5%増加も採用需要に課題
宮城県の雇用情勢(令和6年8月)(宮城労働局)
宮城県の労働市場は、全国的な動向と同様に、地域経済や雇用状況に多くの影響を受けています。令和6年8月のデータによれば、有効求人倍率は1.22倍と、前月と同水準で推移しています。この数値は、全国平均と比べても安定しているものの、求人の伸びが停滞しつつある現状を示しています。特に、有効求人数は44,900人とほぼ横ばいで、求職者数も36,885人と微増に留まりました。これにより、雇用市場における供給と需要のバランスが改善されていないことがうかがえます。
また、新規求人倍率は2.03倍となり、前月比0.07ポイント増加しました。新規求人数は16,232人で、5.5%の増加が見られ、これは2ヶ月連続での増加です。これに対して、新規求職者数は8,009人で、前月比1.9%増加していますが、雇用の充足感には依然として弱さが残っていると言えます。このような状況の中で、企業側の採用活動は依然として活発ですが、求職者に対する競争も激化していることが示されています。
雇用失業情勢に関しては、宮城県全体での求人が求職を上回っているものの、改善のペースはやや鈍化していると評価されています。これは、全国的な物価上昇や消費の減少などが、企業の雇用拡大に対して抑制的な影響を与えているためです。特に、中小企業や製造業、サービス業などでは、労働力確保が難航しており、これが地域の経済成長にブレーキをかけている要因の一つとされています。
宮城県内では、特定の業種において新規求人数の減少が顕著です。たとえば、サービス業では525人減、製造業では292人減と、それぞれ前月比で16.1%と19.0%の減少が報告されています。一方で、金融業や保険業、不動産業においてはわずかに増加が見られましたが、全体の雇用情勢に与える影響は限定的です。このような中で、企業の採用担当者にとって、今後の労働市場に対する注視が不可欠となるでしょう。
また、正社員の新規求人数に関しても、令和6年8月のデータでは減少傾向が続いています。正社員の新規求人は7,534人で、前年同月比11.6%の減少となりました。これは、雇用の安定性を重視する企業が増加している一方で、労働市場全体の不安定さから来る影響が続いていることを示唆しています。正社員の有効求人倍率は1.24倍と、こちらも前年同月比で低下しており、求職者が増加する一方で、企業側の採用需要が鈍化している状況です。
宮城県内の労働市場における地域別の特徴として、都市部では求人数の減少が顕著である一方で、郊外や農村部では依然として労働力不足が続いています。特に医療・福祉分野や運輸業では人材不足が深刻化しており、これらの業種では高い求人倍率が維持されています。令和6年8月のデータによれば、医療・福祉サービス業における有効求人倍率は4.05倍、運輸業・郵便業では1.89倍と高水準にあり、特に専門職の人材確保が難航していることが浮き彫りになっています。
さらに、企業の採用活動に影響を与えている要因として、ハローワークのインターネットサービスの拡充が挙げられます。これにより、オンラインでの求職活動が増加しており、直接ハローワークに来所しない求職者の数が増えています。これに伴い、企業側もオンライン求人の活用を進めており、リモートワークや在宅勤務の求人が増加しています。こうした変化は、コロナ禍の影響を受けた新しい働き方の定着にも寄与しており、今後の雇用市場における主流の働き方として位置づけられる可能性があります。
最後に、今後の見通しとして、物価の高騰や消費の減少が続く中で、雇用市場への影響が懸念されています。特に、中小企業を中心にコスト負担が増大しており、これが新規採用の抑制に繋がるリスクがあります。企業の採用担当者にとっては、こうした経済状況を見据えながら、効果的な採用戦略を構築することが求められています。特に、優秀な人材の確保には、福利厚生や働き方の柔軟性など、求職者にとっての魅力を高める施策が重要となるでしょう。
⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ