2024年10月10日
労務・人事ニュース
令和6年8月 富山県の有効求人倍率1.37倍に低下、6か月連続減少も新規求人は依然2.20倍
2024年8月の富山労働市場ニュース(富山労働局)
富山県の労働市場は、近年、求人の動きがやや鈍化しているものの、全体的には有効求人倍率が高めに推移しています。最新のデータによると、富山県の有効求人倍率は1.37倍となり、全国平均の1.23倍を上回っています。この数値は、求職者1人あたりに対して約1.37件の求人が存在することを意味しており、富山県では求人が求職を上回る状況が続いていることがわかります。特に注目すべき点は、富山県の新規求人倍率が2.20倍と高水準であることで、企業が新たに従業員を募集する意欲が依然として強いことが示されています。
有効求人数は21,905人で、前月比0.7%の減少となり、6か月連続で減少傾向にあります。一方、有効求職者数は16,045人で、前月比0.6%増加しており、2か月ぶりの増加となりました。このことから、求人数は減少しているものの、求職者の数が若干増加していることがうかがえます。この傾向は、物価上昇などの経済的な不安定要素が影響している可能性があります。企業側が新たな雇用に慎重な姿勢を見せる一方で、求職者が職を求める動きが強まっていることが考えられます。
また、富山県の新規求人倍率が2.20倍という高い水準にあることからもわかるように、新規求人の動向は活発です。しかし、前月と比較すると0.31ポイントの低下が見られ、3か月ぶりに減少しました。これにより、企業の新規採用活動が一時的に停滞していることが示唆されます。特に、製造業やサービス業での新規求人が減少しており、これらの産業における雇用情勢の改善には引き続き注視が必要です。
富山県内では、建設業や製造業が主要な産業として挙げられますが、これらの業種における新規求人にも一部減少が見られます。具体的には、建設業では前月比で7.3%の減少、製造業では11.6%の減少が記録されています。特に製造業の中でも、食品製造業や繊維工業、化学工業など、複数の業種で求人が減少傾向にあります。一方で、卸売業や小売業、生活関連サービス業では増加傾向が見られ、特に小売業では前年比で13.0%増加し、132人の増加が報告されています。このような動きから、サービス業を中心に一部の業界では採用ニーズが高まっていることが伺えます。
求職者の動向については、全体的に見ても求職者数が若干増加していますが、年齢層別に見ると、特に24歳以下や25歳から34歳の若年層での求職者数の減少が目立ちます。8月のデータでは、24歳以下の求職者は前年同月比で26.3%減少し、25歳から34歳までの層でも13.9%の減少が見られます。一方、45歳から59歳までの中高年層では、前年同月比で2.3%の増加があり、この層での求職活動が活発化していることがわかります。
さらに、正社員の有効求人倍率は1.36倍と、前年同月から0.01ポイント低下しましたが、引き続き高めの水準を維持しています。正社員の有効求人数は11,955人で、前年同月比で2.6%減少しており、2か月ぶりの減少となりました。一方で、正社員としての就職件数は468件と、前年同月比で1.7%減少しています。このことから、企業が正社員の雇用に関して慎重な姿勢を見せていることがうかがえます。
また、富山県内での労働市場は地域別に見ると、就業地別の有効求人倍率は1.55倍で、前月比0.02ポイント低下しています。この数値は、富山県内での求人が地域によって異なることを示しており、特に福井県や山口県など、隣接する県との比較でも富山県の求人倍率が高めに推移していることがわかります。これにより、企業が特定の地域での人材確保に苦労している可能性があり、地域ごとの雇用支援策が求められています。
富山県における雇用の動向を総合的に見れば、求人倍率は高い水準を維持しているものの、産業別や年齢層別に見ると一部で求人や求職者数の減少が見られ、特に製造業などでは厳しい状況が続いています。今後、物価上昇や経済状況の変化が雇用市場にどのような影響を与えるかについては、引き続き注視が必要です。また、地域ごとの求人倍率や産業別の動向を詳細に分析し、適切な雇用政策や支援策が講じられることが期待されます。
⇒ 詳しくは富山労働局のWEBサイトへ