2024年10月12日
労務・人事ニュース
令和6年8月 愛媛県の有効求人倍率1.34倍!求人市場が示す人材不足の現状
管内の雇用失業情勢(令和6年8月分)について(愛媛労働局)
愛媛県の雇用情勢については、近年の統計からも顕著に示されているように、多くの産業において人手不足が続いていることがわかります。特に、2024年8月の統計データによれば、愛媛県全体の有効求人倍率は1.34倍と全国平均を上回っています。地域別に見ると、東予地域が1.47倍、中予地域が1.16倍、南予地域が1.44倍という数字が示されています。このデータからは、愛媛県全体で求人が求職を上回る状況が続いていることがわかります。
具体的には、新規求人数は前年同月比で2ヶ月ぶりに減少しており、特に宿泊業や飲食サービス業、建設業、卸売業・小売業などの業種で大きな減少が見られました。一方で、運輸業、郵便業、製造業、サービス業はそれぞれ前年同月比で増加しており、産業によって異なる動向が見られることが特徴です。宿泊業・飲食サービス業は前年同月比で18.2%減少、建設業は10.5%減少、卸売業・小売業も8.4%減少しています。これらの業界は、新型コロナウイルスの影響からの回復が遅れている可能性がある一方で、運輸業・郵便業が7.0%増加、製造業が5.9%増加しており、これらの分野では労働力の需要が高まっていることがうかがえます。
また、求職者側の動向を見ると、新規求職者数は前年同月比で2ヶ月ぶりに減少しています。これは、求職者が減少傾向にある一方で、依然として求人倍率が高い状態が続いていることを示しており、企業側の採用難が続いていることを意味します。特に、正社員求人倍率も前年同月比で0.05ポイント上昇し、1.15倍に達しています。このことから、企業は正社員の確保に苦戦していることがわかります。
さらに、地域別の詳細なデータを見ると、東予地域の有効求人倍率は1.47倍、中予地域は1.16倍、南予地域は1.44倍となっており、東予と南予では前年同月を上回る数値が示されています。これらの地域は、製造業や運輸業などの産業が強く、特に東予地域では労働力不足が深刻化していると考えられます。
労働市場全体としては、物価上昇や不安定な経済情勢が企業の雇用戦略に影響を与えており、今後も注視する必要があります。企業は、リスキリングや人材育成、就業環境の整備などを通じて、労働力不足の解消に向けた取り組みを強化することが求められています。特に、若年層の県外流出が続いている愛媛県においては、地元での定着を促進するための施策が必要です。これには、地元企業が魅力的な職場環境を提供するだけでなく、地域の魅力を発信し、移住や定住を促す取り組みも重要です。
愛媛県労働局のデータによると、今後も多くの産業で求人が求職を上回る状況が続く見込みであり、特に建設業やサービス業ではさらなる人材確保が課題となっています。これに加え、雇用保険の受給者数も前年同月比で減少しており、就職率の向上が課題となっています。愛媛県の全体的な雇用情勢は改善傾向にあるものの、依然として特定の業種や地域での人手不足が続いているため、企業は採用戦略を見直し、柔軟な雇用形態や研修プログラムの導入などで対応することが求められます。
以上を踏まえると、愛媛県における企業の採用戦略には、地域ごとの労働力の需給バランスを理解し、特に不足している産業に対する積極的な採用活動が重要です。また、若者の県外流出を防ぐための魅力的な職場環境の提供や、県外からの移住者を受け入れるためのサポート体制の整備も急務です。
⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ