2024年10月11日
労務・人事ニュース
令和6年8月 滋賀県の有効求人倍率1.00倍、製造業求人18.5%減少に企業の対応策とは?
一般職業紹介状況(令和6年8月分)(滋賀労働局)
滋賀県の労働市場における状況について、2024年10月の報告から見える課題や動向を説明します。
まず、令和6年8月の有効求人倍率は1.00倍で、前月から0.02ポイント上昇しました。これは2か月ぶりの増加となり、雇用状況がわずかに改善していることを示しています。滋賀県全体では、有効求人倍率が全国平均より低めに推移していますが、地域によっては有効求人倍率が1.00倍を超える場所も見られます。
新規求人数は8,032人で、前月比で1.2%減少しています。特に、運輸業や郵便業では前年同月比5.3%の増加、宿泊業や飲食サービス業でも11.1%の増加が報告されています。一方、建設業や製造業ではそれぞれ11.2%、18.5%の減少が見られ、これが地域の雇用に対する課題となっています。特に、製造業の減少は地域の経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。
正社員の有効求人倍率は0.75倍で、前年同月比で0.04ポイント低下しました。これは、12か月連続で低下していることを示しており、正社員の需要が減少していることが分かります。滋賀県内での雇用は正社員よりも非正社員の求人が多く、非正社員求人は全体の求人の57.9%を占めています。この傾向は特にパートタイムやアルバイトの求人が増加していることに起因しており、正社員としての雇用を求める求職者にとっては厳しい状況が続いています。
求職者の動向に目を向けると、有効求職者数は22,450人で前月比0.7%減少しました。新規求職者数は4,458人で、3か月ぶりに0.8%増加しました。これは、新規求職者の数が少しずつ増えていることを示していますが、全体的な求職者数は減少傾向にあり、求人数と求職者数のバランスが崩れている状況です。このバランスの崩れが、求人倍率の低下に影響していると考えられます。
特に、常用雇用を希望する求職者は減少しており、事業主都合で離職した求職者が前年同月比で10.3%増加している一方、自己都合での離職者は8.1%減少しています。また、無業者の数は25.7%減少しており、長期にわたって無職状態であった人々が再び職を求める動きが見られます。これらの動向から、企業の採用活動においては、離職者や無職者をターゲットとした求人活動が効果的であると考えられます。
滋賀県の新規求人倍率は1.80倍で、前月より0.04ポイント低下しています。特に、宿泊業や飲食サービス業での求人は増加している一方で、製造業や建設業での求人は減少しているため、業種による求人の偏りが顕著です。企業が採用を進める際には、求人のニーズに合った人材を確保するための柔軟な採用戦略が必要です。
また、滋賀県内の有効求人倍率は地域ごとに差があり、例えば彦根市では有効求人倍率が2.67倍と高い水準にありますが、草津市や大津市ではそれぞれ1.97倍、1.91倍と比較的安定しています。これらの地域間の違いを考慮した採用活動が重要です。
企業の採用担当者にとっては、特定の地域や業種における求人倍率の動向を把握し、それに応じた採用戦略を立てることが重要です。例えば、製造業における求人倍率が低下していることを踏まえ、人材確保が難しい業種では、他の業種や地域からの人材の採用を検討する必要があるかもしれません。
滋賀県の労働市場の特徴として、雇用の形態別に見た場合、正社員の求人が減少傾向にある一方で、非正社員やパートタイムの求人が増加しています。これは、企業がコスト削減のために柔軟な働き方を提供する非正規雇用を推進していることが要因の一つと考えられます。企業が持続的に成長していくためには、正社員の確保も重要ですが、非正規雇用者の待遇改善やスキルアップ支援を行い、長期的な雇用安定を目指すことが求められます。
最後に、今後の採用活動において、滋賀県の労働市場の変化に対応するためには、業種ごとの求人ニーズや地域ごとの雇用情勢を的確に把握し、柔軟な採用戦略を構築することが必要です。特に、新しい働き方に対応した求人条件の提示や、地域特有の産業構造を考慮した採用計画が求められています。
⇒ 詳しくは滋賀労働局のWEBサイトへ