2024年10月10日
労務・人事ニュース
令和6年8月 神奈川県の正社員求人倍率が0.69倍に低下、前年同月比4.3%減少
労働市場速報(令和6年8月分)を公表します(神奈川労働局)
神奈川県における労働市場の現況について、最新のデータをもとに説明します。令和6年8月の労働市場における有効求人倍率は、受理地別で0.91倍、就業地別では1.10倍と報告されています。これらの数値は、いずれも前月比で若干の下降が見られ、特に正社員の有効求人倍率は0.69倍と前年同月よりも低下しています。これは、全体としての求人市場が依然として回復基調にあるものの、一部に弱含みが続いていることを示しています。
新規求人倍率に関しても、受理地別では1.65倍、就業地別では2.04倍と、こちらも前月比で下降傾向が見られます。これに伴い、新規求人数も減少しており、具体的には受理地別で前月比3.4%の減少、就業地別で1.7%の減少となっています。新規求人の主な産業別内訳では、宿泊業や飲食サービス業が前年同月比で59.1%の増加を記録しており、これらの分野での人手不足が顕著となっていることがうかがえます。一方、製造業や建設業、運輸業などの他の主要産業では減少が見られ、特に建設業は16.2%、運輸業は17.3%と大幅な減少を示しています。
有効求人数も減少傾向にあり、受理地別では98,973人、就業地別では120,093人と、いずれも前月比で2%以上の減少が報告されています。これに対し、有効求職者数はほぼ横ばいで、受理地別では108,884人、就業地別では120,252人とわずかな減少にとどまっています。このような状況は、全体としての雇用需給バランスが厳しさを増していることを示唆しており、特に正社員の求人が依然として低調であることが課題です。
さらに、労働市場のその他の指標として、雇用情勢に関する判断では「一部に弱さが残るものの、持ち直しに向けた動きが広がっている」と評価されています。これは、物価上昇や原材料費の高騰が企業経営に影響を与えている中で、雇用に与える影響にも注意が必要であることを強調しています。特に、求人が大幅に減少している製造業や建設業では、コスト上昇が経営に与える影響が大きく、求人抑制の要因となっている可能性が考えられます。
正社員に限定した求人倍率についても分析すると、前年同月比で有効求人数は4.3%の減少を記録しており、パートタイムを除く常用有効求職者数も1%減少しています。これにより、正社員の有効求人倍率は0.69倍と、引き続き低水準にあります。これは、企業側が正社員採用に対して慎重な姿勢を示している一方で、求職者数の減少が限定的であることが、全体の求人倍率を下押ししている要因と考えられます。
雇用動向の中でも特筆すべき点は、新規求職者の動向です。新規求職者数は前月比で0.3%の減少となっていますが、離職理由別に見ると、定年到達による離職者が7.7%増加している一方で、自己都合による離職者が11.4%減少しています。これにより、全体としての離職者数は減少していますが、定年到達者の増加は今後の労働市場における高齢化の影響を反映していると言えます。
このように、神奈川県の労働市場における雇用情勢は、全体として持ち直しの兆しが見られるものの、産業別の差が顕著であり、特に製造業や建設業などの一部の分野では依然として厳しい状況が続いています。一方で、宿泊業や飲食サービス業など、コロナ禍の影響が強かった分野では大きな回復が見られており、これらの業種での求人が今後も増加することが期待されます。企業の採用担当者にとっては、こうした業種ごとの求人動向を注視しながら、採用計画を立てることが重要です。
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ