2024年10月10日
労務・人事ニュース
令和6年8月 福井県の求人倍率1.87倍!高齢者の労働参加率16.7%増加で人手不足に挑む
雇用失業情勢 (令和6年8月分)(福井労働局)
福井県の雇用情勢は、令和6年8月の統計に基づくと、求人倍率が高く、求職者よりも求人の方が大幅に上回る状況が続いています。福井県内の有効求人倍率は1.87倍となり、全国平均の1.23倍を大きく上回っています。このことから、福井県内の企業は労働力不足に直面しており、特に特定の業界では人材の確保が困難な状況が続いていることがわかります。
具体的に新規求人数の推移を見ていくと、前月比で5.3%増加し、7,264人に達しています。この増加は、福井県の雇用情勢が引き続き活発であることを示していますが、業界によっては異なる傾向も見られます。例えば、建設業では前年同月比で6.1%の増加、運輸業・郵便業では7.4%の増加が見られる一方で、宿泊業や飲食サービス業では15.8%、生活関連サービス業や娯楽業では22.1%の減少が見られました。医療・福祉分野でも12.6%の減少が報告されており、サービス業全般にわたって求人が減少している状況が伺えます。
一方で、製造業においては、福井県の地場産業である繊維工業では前年同月比でわずか0.5%の減少にとどまり、安定した需要が続いています。特に眼鏡製造業では15.0%の増加が見られ、県内の伝統産業が引き続き雇用を支えていることが確認されます。また、電子部品・デバイス製造業でも52.4%の大幅な求人増加が見られ、これらの産業が今後の福井県の雇用を牽引する可能性が高いです。
有効求職者数については、前年同月比で2.5%減少し、10,659人となっています。求職者の減少傾向は3カ月連続で続いており、特に若年層(24歳以下)では14.7%の減少が顕著です。これに対して、65歳以上の高齢者の求職者数は16.7%増加しており、高齢者が労働市場に参入している様子が伺えます。これらのデータから、福井県では若年層の労働力が不足し、特に高齢者層が労働市場で活躍する割合が増加していることが示唆されます。
新規求職者数も、前年同月比で4.8%減少しており、2,335人にとどまっています。求職理由別に見ると、在職者による求職が13.9%減少しており、離職者も0.5%減少しています。一方で、無業者の求職者数は10.7%増加しており、特に自己都合による離職が若干の増加を見せています。
雇用失業情勢全体としては、求人倍率が引き続き高い水準を保ち、福井県内の労働市場は求人数が多いものの、業界によっては需要と供給のミスマッチが存在します。特にサービス業や福祉業界における求人の減少と、製造業や建設業における求人の増加が対照的であり、業界間での人材の流動性が課題となっていることがわかります。
また、求職者の年齢構成にも変化が見られ、高齢者の労働参加が増加している一方で、若年層の求職者数が減少していることは、少子高齢化の影響を強く反映していると考えられます。今後、福井県内の企業は労働力の確保に向けて、特に若年層や中高年層の人材確保に注力する必要があるでしょう。
県内の有効求人倍率は高水準を保っていますが、物価上昇や経済情勢の変化が雇用に与える影響については、引き続き注視が必要です。特に、賃金の上昇が物価上昇に追いつかない場合、生活の負担が増し、求職者の選択肢にも影響を及ぼす可能性があります。企業は、魅力的な求人条件を提示することが重要となり、特に賃金や労働環境の改善が急務となっています。
このような状況下で、福井県内の企業は今後、地域の労働力不足を補うための取り組みを強化する必要があります。例えば、地域の特性を生かした新たな雇用創出や、働き方改革による柔軟な労働環境の整備が求められます。さらに、高齢者や女性の活躍推進に向けた施策の拡充も重要です。特に、女性の労働参加率を高めるためには、保育施設の整備や育児支援制度の充実が欠かせません。
福井県の雇用市場は、全国的にも高い求人倍率を誇っているものの、求職者とのマッチングが十分に行われていない現状があります。企業は、求職者のニーズを的確に把握し、柔軟な採用戦略を打ち出すことが求められます。
⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ