2024年10月10日
労務・人事ニュース
令和6年8月 群馬県の有効求人倍率が1.32に上昇!医療・福祉業界で14.1%の増加
労働市場速報(令和6年8月)(群馬労働局)
群馬県の労働市場における最新の状況は、いくつかの主要な指標に基づいて分析されています。2024年8月時点での有効求人倍率(季節調整値)は1.32で、全国平均をわずかに上回る数値となっています。この有効求人倍率は、雇用情勢が引き続き堅調であることを示していますが、前年同月と比較して求人と求職のいずれも減少傾向にあり、景気の先行きには注意が必要です。
まず、新規求人数に関しては11,246件で、前年同月比で12.8%減少しています。特に宿泊業・飲食サービス業や卸売・小売業など、一部の産業では大幅な減少が見られ、これらの業界は依然として厳しい経営環境に直面しています。また、有効求人数も前年同月比で6.8%減少し、33,691件となっています。これにより、求人倍率は5か月ぶりに増加しましたが、全体的には回復基調が弱まっていると言えるでしょう。
産業別に見ると、製造業や建設業といった主要産業の新規求人数は、それぞれ14.4%減少しています。特にプラスチック製品や金属製品、電気機械器具、輸送用機械器具などの分野での求人が減少傾向にあり、企業の新規設備投資の抑制や外部環境の不確実性が影響している可能性があります。
一方で、情報通信業や医療・福祉などの分野では、前年同月比で増加傾向にあり、特に情報通信業では14.1%の増加が見られます。これはデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や医療・介護分野での人手不足を背景に、これらの業界での求人が堅調に推移していることを示しています。また、サービス業においても6.6%の増加が見られ、特に運輸業・郵便業などの分野で需要が高まっていることがうかがえます。
求職者数の推移も注目に値します。新規求職者数は4,982人で、前年同月比7.7%の減少を記録しました。有効求職者数も25,815人と前年同月比で0.4%減少しており、求人数の減少と相まって、雇用市場のバランスが取れつつあると考えられます。これは、長期的な雇用安定を目指す企業が増えていることを示している一方で、経済活動が一部停滞していることを反映しているとも言えるでしょう。
群馬県全体の雇用情勢に関しては、県内の各エリアでも地域ごとに違いが見られます。例えば、高崎市や伊勢崎市では比較的高い求人倍率が維持されていますが、桐生市や太田市など一部の地域では、求人倍率が低迷しています。特に製造業が盛んな地域では、外部需要の低下や供給チェーンの問題などが影響し、企業の採用意欲が抑制されていると考えられます。
また、ハローワークのデータによると、群馬県内ではオンラインを活用した求職活動が増えており、特にハローワークインターネットサービスの機能拡充によって、来所不要で求職活動が可能となっています。これにより、オンラインでの自主応募件数が増加し、求職者と企業のマッチングがスムーズに進められるようになってきています。
こうしたデータを踏まえ、企業の採用担当者にとっては、今後の採用戦略の立て方が重要な課題となります。例えば、求人倍率が比較的高い情報通信業や医療・福祉分野では、早期に人材確保を進めることが求められます。一方で、製造業や建設業などでは、新規採用を進めつつも、既存の労働力の維持・育成に注力することで、長期的な人材確保を図る必要があるでしょう。
さらに、今後の見通しとして、物価上昇や景気の先行き不透明感が企業の採用意欲に影響を与える可能性があります。特に中小企業においては、コスト増加に対応するための人員削減や採用抑制が懸念されます。このため、企業は人材育成の強化や労働条件の改善を進め、優秀な人材を維持する戦略を取ることが求められるでしょう。
以上のように、群馬県の労働市場は引き続き堅調なものの、一部業界や地域では厳しい状況が続いています。今後、企業が持続的に成長を遂げるためには、労働市場の動向を注視しながら、柔軟な採用・育成戦略を展開することが重要です。
⇒ 詳しくは群馬労働局のWEBサイトへ