2024年10月11日
労務・人事ニュース
令和6年8月 静岡県内の有効求人倍率1.12倍、正社員の募集が4ヶ月ぶりに増加
静岡県内の最近の雇用情勢(令和6年8月分)(静岡労働局)
令和6年8月に発表された静岡県の雇用情勢に関する最新データでは、求人倍率や求職者数に関して明確な動向が見られました。まず、有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍と前月から0.03ポイント上昇し、これは43ヶ月連続で1倍を超えたことを示しています。全国の有効求人倍率は1.23倍であり、静岡県はそれを0.11ポイント下回る結果となっています。これにより、県内の雇用情勢は一定の改善が見られたものの、引き続き弱含みの状態が続いていることが分かります。
求人数に関しては、有効求人数が62,379人と前月比で1.8%増加し、2ヶ月連続での増加となりました。一方で、有効求職者数は55,784人と前月比0.4%減少しており、こちらも2ヶ月連続の減少傾向が見られます。これにより、求職者数が減少し、求人数が増加する状況から、就業機会が増えつつあるものの、求職活動を行う人々が減少していることが示唆されています。
地域別の有効求人倍率を見ると、東部は1.11倍(前年同月比で0.06ポイント減少)、中部は1.22倍(前年同月比で0.07ポイント減少)、西部は0.99倍(前年同月比で0.15ポイント減少)となっており、すべての地域で前年同月と比較して下回る結果となりました。地域ごとの経済活動や産業構造の違いが、雇用情勢に反映されていることが伺えます。
職業別の有効求人倍率についても重要な傾向が示されています。特に、保安や建設・採掘、介護関連の職業においては高い求人倍率が維持されていますが、事務職や運搬・清掃・包装などの職業では低めの倍率が続いています。これにより、特定の職業分野で人材の不足が顕著である一方、他の職業分野では需要が低調であることが明確です。
また、正社員の有効求人倍率は1.03倍となり、3ヶ月ぶりに全国平均を上回りました。正社員の有効求人数は33,128人で、前年同月比で4ヶ月ぶりに増加しました。これにより、静岡県内では正社員の求人が再び増加傾向にあり、企業が正社員としての人材を積極的に募集していることが確認されます。
産業別の新規求人動向では、卸売業・小売業や医療・福祉分野で新規求人数が増加しましたが、建設業、製造業、運輸業・郵便業、宿泊業・飲食サービス業などの分野では減少が見られました。新規求人倍率は2.25倍と、前月から0.19ポイント上昇し、全国の新規求人倍率(2.32倍)を0.07ポイント下回りました。このことから、求人の増加が見られる分野がある一方で、産業によっては減少傾向が続いていることが分かります。
新規求人数は21,892人で、前年同月比で0.7%減少しました。特にパート求人数は7,276人と前年同月比で9.1%減少しており、パートタイムでの雇用機会が減少していることが示されています。これに対し、一般求人数は14,616人となり、前年同月比で4.1%増加しています。一般求人数の増加は、フルタイムでの雇用が比較的安定している一方で、パートタイムでの雇用機会が減少傾向にあることを示しています。
事業所規模別に見ると、新規求人数は、29人以下および1,000人以上の規模で前年同月を上回りましたが、30~99人や100~299人規模の事業所では求人が減少しました。この傾向から、小規模および大規模事業所では人材のニーズが依然として高い一方で、中規模事業所においてはやや採用意欲が低下していることが伺えます。
ハローワークのデータによると、静岡県全体の求職者数は減少傾向にある一方で、特定の分野では求人が増加しています。これにより、求職者にとっては一部の職業分野でより多くの選択肢が提供されていることが分かります。企業側としては、特に保安、介護、建設といった人材不足が続く分野において、競争が激化している状況が浮き彫りになっています。
こうした最新の雇用情勢の中で、企業の採用担当者は、自社の求める人材をいかに効率的に確保するかが課題となっていると言えるでしょう。また、正社員雇用に対する需要の増加が見られることから、特に正社員としてのポジションを提供する企業にとっては、今が採用活動を強化する重要な時期となっています。
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ