2024年12月13日
労務・人事ニュース
令和6年9月、全国の病院数は8,060施設に減少―医療法人が提供する病床数は半数以上
医療施設動態調査(令和6年9月末概数)(厚労省)
医療施設動態調査によると、令和6年9月末時点における全国の医療施設の状況が詳しく報告されています。病院、一般診療所、歯科診療所の施設数や病床数において、前月と比較した変動が注目されています。この調査は、医療提供体制の変化を把握し、医療政策の策定や改善に活用される重要なデータとなります。
まず、全国の病院数は前月と比較して2施設減少し、総数は8,060施設となりました。病床数においても、前月より347床減少しており、1,469,845床が提供されています。特に、精神科病床では389床減少が確認される一方で、感染症病床では1床の増加が見られました。このような細かな変化は、医療ニーズや地域の医療資源の配置状況を理解するうえで重要です。
一方、一般診療所に関しては、施設数が前月比で109施設増加し、総数は105,271施設となりました。しかし、病床数は223床減少しており、72,451床が提供されています。特に無床診療所が126施設増加したことが特徴的であり、外来医療の需要が高まっていることを示唆している可能性があります。
歯科診療所の状況については、施設数が6施設減少し、総数は66,384施設となりました。病床数もわずかに減少しており、2床減少の61床となっています。歯科分野は他の医療分野と比べて病床数が少ないため、このような変化は限定的な影響にとどまると考えられます。
さらに、施設の開設者別データも興味深い結果を示しています。例えば、医療法人が運営する病院は5,626施設であり、総病床数の半数以上を占める827,323床を提供しています。これに続くのは市町村運営の病院で、588施設が117,464床を提供しています。一方で、国立高度専門医療研究センターの病院はわずか8施設であるものの、4,047床という高度な医療を提供する専門的な役割を果たしています。このような運営主体ごとの違いは、医療提供体制の多様性を反映しています。
都道府県別に見た施設数と病床数のデータも注目に値します。例えば、東京都は15,146施設の一般診療所と10,607施設の歯科診療所を抱え、病院病床数では124,611床を提供する全国最大の医療拠点となっています。一方で、鳥取県は病院数が43施設、病床数が7,977床と、比較的小規模な医療体制を維持しています。この地域差は、人口密度や医療資源の分布に大きく影響されており、それぞれの地域が異なる医療課題に直面していることを示唆しています。
今回の調査結果は、医療施設や病床の数だけでなく、その変動から医療提供体制の動向を探る貴重な情報を提供しています。特に、地域間の医療資源の分布格差や、運営主体ごとの役割の違いを把握することで、今後の医療政策や施設配置計画に役立てることができます。医療施設が減少している地域では、新たな施設の設置や機能強化が求められる一方で、既存の施設の効率的な活用や連携強化も重要となります。
また、感染症病床や療養病床といった特定用途の病床数が変動している点も注目すべきです。特に、高齢化社会が進む中で療養病床の需要が高まる可能性があるため、こうした病床の維持や拡充は、地域医療の安定に直結します。一方で、感染症病床の増減については、今後の感染症対策を見据えた柔軟な対応が求められます。
調査結果の詳細な分析を基に、医療施設の配置や機能分化を進めることが、国全体の医療の質と効率を向上させる鍵となるでしょう。また、地域ごとの医療ニーズを的確に把握し、政策に反映させることで、住民が安心して医療サービスを利用できる体制が整うことが期待されます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ