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2024年11月18日

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令和6年9月の住宅着工件数、持家・分譲住宅の減少と貸家需要の増加が顕著に

建築着工統計調査報告(令和6年9月分)(国交省)

国土交通省総合政策局建設経済統計調査室が公表した令和6年9月の建築着工統計調査報告によると、新設住宅の着工件数は前年同月比0.6%減少し、5か月連続の減少となりましたが、季節調整済年率換算値では前月比3.0%増加しました。このデータは、住宅需要の変動や経済動向の指標として注目されており、持家、貸家、分譲住宅の種類ごとに状況が異なっていることが分かります。

具体的には、総戸数は68,548戸であり、持家の着工数は19,350戸と前年同月比0.9%減少しました。特に民間資金による持家は0.3%減少し、34か月連続で減少を記録しています。持家市場の低迷は、民間資金だけでなく公的資金も6.9%減少しており、35か月連続の減少を示しています。このデータから、民間および公的資金の双方に依存する持家需要の低下が明らかであり、住宅市場の不安定さが浮き彫りとなっています。

一方、貸家の着工件数は31,033戸で、前年同月比4.4%の増加を記録しました。特に民間資金による貸家は4.9%増加しており、先月の減少から再び上昇傾向に転じています。しかし、公的資金による貸家は2.8%減少しており、8か月連続で減少が続いています。貸家市場の増加は、主に民間資金の影響によるもので、賃貸需要の高まりが一部で見られるものの、公的資金の低下が全体の上昇を抑制していることが示唆されます。

分譲住宅は17,921戸で、前年同月比7.0%減少しました。特にマンションは7,651戸と6.1%の減少、一戸建住宅は10,110戸と8.2%の減少が見られました。分譲住宅の需要減少は都市部で顕著で、マンション、一戸建ともに減少傾向が続いています。経済的不確実性や需要の低下が影響し、分譲住宅市場にも影を落としています。

地域別の着工戸数では、首都圏、中部圏、近畿圏で異なる傾向が観察されました。首都圏では総戸数が前年同月比11.5%増加しており、持家、貸家、分譲住宅がそれぞれ増加しています。中でも、マンションの着工は24.1%増加と大きな伸びを見せました。これは、首都圏での住宅需要が依然として根強いことを示していますが、一戸建住宅は6.3%減少しており、住宅のタイプによって需要が異なることが分かります。

一方、中部圏では総戸数が11.9%減少し、持家、貸家、分譲住宅すべてが前年を下回りました。特にマンションの着工が30.5%減少しており、一戸建住宅も15.3%の減少を記録しました。近畿圏でも総戸数は前年同月比で2.8%増加しましたが、分譲住宅は11.5%減少し、地域間で住宅需要の差が大きいことが示されています。その他の地域においても、総戸数は8.9%減少しており、住宅市場の冷え込みが地方にも広がっていることが分かります。

また、建築工法別のデータも公表されており、プレハブ住宅は前年同月比12.5%減少し、16か月連続の減少となりました。一方、ツーバイフォー工法の住宅は0.8%増加し、4か月連続の増加を記録しています。プレハブとツーバイフォー工法は、住宅建設における主要な選択肢であり、技術的な革新や需要の変動が着工件数に反映されています。

さらに、非居住建築物の着工面積も大きな関心事です。全体で3.2%の減少が見られ、11か月連続の減少を記録しました。民間建築主による非居住建築物の着工面積は313万㎡で、前年同月比3.1%の減少が続いています。主な用途別に見ると、情報通信業用の建築物は前年同月比88.3%増加し、不動産業用も63.8%増加するなど、一部の業種で建設需要が急増しています。しかし、製造業用は26.5%減少、卸売業・小売業用も13.2%の減少を記録しており、業種ごとに異なる動向が見られます。

一方、公共の建築主による着工面積は38万㎡で、前年同月比14.6%減少しました。これは4か月ぶりの減少であり、公共工事の減少が全体の建築需要に影響を与えています。特に、国が発注する建築物の着工面積は前年同月比54.8%減少し、都道府県や市区町村も減少傾向にあります。

これらのデータを総合的に見て、住宅市場は持家や分譲住宅の減少傾向が続いている一方、貸家需要がわずかに回復していることがわかります。また、地域間での住宅需要の差異や建築工法の変化、非居住建築物の着工動向などが市場全体に影響を与えており、今後の住宅政策や投資戦略においても慎重な分析が必要とされる状況です。特に、地域別の需要動向や公共・民間の資金の動きに注目しつつ、住宅市場の長期的な健全性を保つための方策が求められるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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