労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和6年9月の医科医療費、前年比0.3%減!企業の健康経営に与える影響とは?

2025年2月14日

労務・人事ニュース

令和6年9月の医科医療費、前年比0.3%減!企業の健康経営に与える影響とは?

最近の医科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度9月号)

令和6年9月における医科医療費の動向が厚生労働省より発表され、全国の医療機関や企業の関係者にとって重要な指標となっている。最新の統計データによると、医科医療費(電算処理分)の総額は対前年同月比で0.3%の減少となり、受診延日数は2.6%減少、1日当たりの医療費は2.4%増加した。これらの数字は、国内の医療業界の経済状況を反映しており、今後の動向を見極める上で欠かせない情報といえる。

診療種類別に見ると、入院医療費は3.5%の増加を記録し、受診延日数は0.8%増加、1日当たりの医療費も2.6%の伸びを示した。一方で、入院外医療費は4.4%の減少、受診延日数も3.6%減少し、1日当たりの医療費は0.9%の減少という結果となった。このような傾向は、入院治療の重要性が増している一方で、外来治療の需要が低下していることを示唆している。

保険制度別に医療費の変動を分析すると、被用者保険の医療費は2.3%減少し、国民健康保険も4.2%減少した。一方で、後期高齢者医療制度の医療費は2.9%増加し、公費医療費も1.1%増加した。これらのデータからは、高齢者向け医療サービスの需要が高まっていることが読み取れる。

また、医療機関の種類ごとに見ると、大学病院の医療費は6.3%増加し、公的病院は2.2%増、法人病院は0.9%増となった。病床数200床未満の医療機関では0.9%の増加、200床以上の医療機関では2.5%の増加が見られた。一方、医科診療所では6.1%の減少となり、医療機関の規模によって異なる傾向が見られる。

都道府県別に分析すると、医療費の伸び率が最も高かったのは山形県(1.7%増)で、最も低かったのは福井県(2.9%減)だった。また、入院医療費が最も増加したのは岐阜県(6.1%増)、最も減少したのは宮崎県(1.9%減)だった。入院外医療費の減少幅が最も大きかったのは徳島県(8.6%減)で、東京都も2.7%の減少を記録した。

年齢別の医療費の変動を見ると、75歳以上80歳未満の層が5.9%増加し、最も医療費が増えた年齢層となった。一方で、5歳以上10歳未満の層では17.1%の減少が見られた。入院医療費では15歳以上20歳未満の層が12.7%の増加を示したが、70歳以上75歳未満の層では3.8%の減少となった。外来医療費では、75歳以上80歳未満が3.1%増加した一方で、5歳以上10歳未満は24.3%の大幅な減少を記録した。

さらに、疾病分類別に見ると、循環器系の疾患による医療費は1.2%増加し、新生物(がん等)による医療費は2.6%増加した。筋骨格系及び結合組織の疾患は3.0%増加し、腎尿路生殖器系の疾患は1.0%の増加だった。一方、損傷・中毒及びその他の外因の影響による医療費は5.5%増加し、呼吸器系疾患の医療費は7.7%減少した。

診療内容別のデータを見ると、DPC包括部分(診断群分類別包括支払方式)が8.1%増加し、手術・麻酔も4.3%増加した。一方、入院基本料・特定入院料は2.6%減少し、薬剤料は2.3%減、検査・病理診断は8.5%減となった。これらの変化は、医療機関の診療報酬体系や医療提供の在り方に影響を及ぼしている可能性がある。

これらの統計データを踏まえると、日本の医療業界は高齢者医療の需要増加、外来診療の低迷、診療内容の変化といった課題に直面していることが分かる。特に企業の採用担当者にとっては、医療費の増減が従業員の健康保険料や福利厚生に影響を与えるため、最新の動向を把握することが重要となる。また、地域ごとの医療費の違いを考慮しながら、最適な保険制度や医療機関の選定を行うことも求められる。

このような医療費の変動は、企業の人事戦略にも影響を与える可能性がある。例えば、健康経営を推進する企業では、従業員の健康増進プログラムを強化することで、医療費の抑制を図ることができる。また、福利厚生の一環として、特定の疾患に対する予防医療や健康診断の充実を図ることも有効だろう。今後の医療費の動向を注視しながら、企業としてどのような健康施策を打ち出すべきか検討していくことが重要である。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ