2024年11月6日
労務・人事ニュース
令和6年9月の調査結果:左官職で10.1%の不足、建設現場の需給バランス悪化
建設労働需給調査結果(令和6年9月分調査)について(国交省)
建設労働市場の現状において、特に技能労働者の需給バランスに関する詳細な調査結果が報告されています。令和6年9月の調査では、全国的に8職種の建設技能労働者に関して、全体で1.6%の不足が確認されており、これは前月の1.2%と比較して不足率が0.4ポイント拡大しています。しかし、前年同月の2.1%の不足と比較すると、0.5ポイント改善されています。さらに地域別に見ると、東北地方では9月に2.0%の不足となり、前月の4.5%から不足幅が縮小しましたが、前年同月の1.5%と比較すると0.5ポイント悪化している状況です。
調査では、今後の見通しも評価されており、11月と12月の予測では、全国および東北地域ともに「普通」と見込まれています。職種別の状況を見ると、特に左官職が10.1%、鉄筋工(建築)が22.2%、電工が5.5%、配管工が4.1%の不足と報告されており、その他の職種では需給バランスが比較的安定しているとされています。特に、鉄筋工(建築)の不足率は前年同月比で大幅に改善されていますが、一部の地域や職種では依然として不足が続いています。
また、建設業界全体で労働者の確保が困難である背景には、いくつかの要因が挙げられています。調査によると、前工程の工事遅延が43.9%、昼間時間帯の制約が21.1%、天候不順が8.8%といった理由が主な原因とされています。さらに、現場によっては無理な受注が3.5%にのぼり、これが労働力確保をさらに難しくしている状況です。
労働者の確保に関して、今後数ヶ月の見通しとしては、8職種全体で23.9%が「困難」または「やや困難」と予測されており、前年同月の27.5%からは改善しているものの、依然として労働者不足が深刻な課題となっています。一方で、「容易」または「やや容易」との回答は3.7%で、前年同月の3.1%から若干の上昇が見られます。これらの結果は、今後も建設労働市場の需給バランスが厳しい状況であることを示しており、特に一部の職種や地域においては労働力の確保が引き続き課題となることが予想されます。
調査では、労働者が不足している職種として左官や鉄筋工、電工、配管工などが挙げられており、これらの職種では特に新規募集が厳しい状況です。左官では10.1%、鉄筋工(建築)では22.2%の不足が報告されており、特に鉄筋工(建築)においては労働力確保が非常に困難な職種となっています。地域別では、北陸や四国、九州、沖縄などで需給バランスが比較的均衡している一方で、その他の地域では依然として労働者不足が続いている状況です。
さらに、今後数ヶ月にわたる手持現場の状況についても調査されており、残業や休日作業を強化している現場数は全体の2.8%に達しており、前月の2.6%から0.2ポイント上昇しています。しかし、前年同月の3.5%と比較すると0.7ポイント減少していることから、全体的な作業量の調整が進んでいる可能性が示唆されています。
建設業界における技能労働者の確保は、公共事業の円滑な実施や建設労働対策の推進にとって極めて重要です。今回の調査結果は、業界全体の需給バランスを把握し、労働力不足の改善に向けた基礎資料として活用されることが期待されています。また、今後の見通しとしては、需給バランスの改善に向けてさらなる取り組みが必要とされるでしょう。
以上の調査結果は、令和6年9月10日から20日にかけて行われたものであり、建設業界における技能労働者の需給バランスを定量的に把握するための重要な指標となっています。特に左官、鉄筋工、電工、配管工といった職種での労働力不足が顕著であり、今後もこれらの職種での人材確保が業界の重要課題となることが予測されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ