2024年11月21日
労務・人事ニュース
令和6年9月速報!月間現金給与総額292,551円、前年同月比2.8%増の最新動向
毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報等 第1表 月間現金給与額(厚労省)
令和6年9月の速報データに基づく月間現金給与額に関する最新の情報が発表されました。この統計は、事業所規模5人以上を対象に調査され、産業別の給与構造や変動傾向が明らかにされています。今回のデータでは、現金給与総額の平均が292,551円となり、前年同月比で2.8%増加しました。この中には、きまって支給される給与、所定内給与、所定外給与、さらに特別支給分が含まれており、それぞれの内訳も重要な分析材料となっています。
まず、「きまって支給される給与」は283,358円で、前年同月比2.4%増加しました。この項目は、安定的に支給される給与として、企業の基本的な人件費水準を示しています。特に、所定内給与が264,194円(前年同月比2.6%増)、所定外給与が19,164円(前年同月比0.4%減)と分かれています。この数字から、基本的な給与水準が上昇している一方、所定外労働(残業など)による収入は若干減少傾向にあることが分かります。労働時間の適正化が進む一方で、基本給の増額が従業員の所得向上に寄与していると考えられます。
また、「特別に支払われた給与」は9,193円となり、前年同月比16.1%増加しました。この項目には賞与や特別手当が含まれており、企業の業績改善が従業員への還元に反映されている可能性を示唆しています。特に、年末や業績に応じた支給が増加傾向にある点は、採用活動においても訴求力となるでしょう。
産業別に見ると、鉱業・採石業などの給与水準が顕著に高く、現金給与総額は337,240円(前年同月比10.8%増)でした。この分野では、「きまって支給される給与」が330,188円(前年同月比8.6%増)と安定的な伸びを示しています。一方で、特別支給分の増加率は1536.2%と非常に高く、ボーナスや臨時支給の影響が大きいことが分かります。他の産業と比較しても、この大幅な伸びは特筆に値します。
一方で、製造業や小売業といった労働集約型の産業では、給与の伸びが緩やかであることが観察されました。これらの業界では、労働生産性や業務効率化に向けた取り組みが収入の伸びにどのように反映されているかが、今後の課題となるでしょう。特に、従業員の満足度やモチベーションに直結する給与水準の改善は、採用市場において競争優位性を確保する上で重要です。
今回の調査結果は、採用担当者にとっても大きな示唆を与える内容となっています。例えば、給与額の上昇が人材獲得の競争力にどのように影響するか、各産業の動向を踏まえた給与テーブルの見直しが求められます。また、特別支給分の増額を積極的に行うことで、優秀な人材を惹きつける施策として活用することも考えられます。これらのデータは、単なる給与額の指標に留まらず、企業の成長戦略や人事施策の基盤となるものです。
さらに、政府が推進する労働環境の改善に伴い、企業は従業員のワークライフバランスにも配慮する必要があります。所定外給与の減少は、残業時間の削減に向けた取り組みの一環と見られますが、同時に基本給与の充実によって総額の増加を実現することが、企業の持続的な成長を支える鍵となるでしょう。採用市場では、これらの具体的な取り組みが企業の魅力として訴求されることが期待されます。
令和6年9月のデータからは、企業の給与水準や支給方針が多様化しつつある現状が浮き彫りになりました。こうした統計情報を活用することで、採用戦略のさらなる精緻化が可能となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ