2025年3月5日
労務・人事ニュース
令和6年9月 企業の給与総額291,712円、人材確保のための報酬体系の最適化とは(事業所規模5人以上)
毎月勤労統計調査地方調査 令和6年9月分結果概要 事業所規模5人以上 調査産業計(厚労省)
令和6年9月の労働市場に関する統計データが発表され、事業所規模5人以上の企業を対象とした調査の結果が明らかになった。このデータによると、全国の常用労働者数は51,020.5千人に達し、労働市場の安定性を示している。また、総実労働時間は134.7時間、所定内労働時間は124.8時間、所定外労働時間(残業時間)は9.9時間と報告されており、労働時間の動向が明らかになった。
出勤日数については、平均で17.3日となり、労働時間とともに働き方の実態を反映している。このデータは、企業の労務管理や労働者の働き方改革の進展を示す指標となる。特に、所定外労働時間(残業時間)が10時間を下回っていることは、長時間労働の是正が進んでいる可能性を示しているが、業種や企業規模によるばらつきも考慮する必要がある。
賃金面では、現金給与総額は291,712円、きまって支給する給与は282,810円、所定内給与は263,729円、特別給与(ボーナスなど)は8,902円となった。これにより、給与の構成が詳細に分析でき、企業が従業員にどのような給与体系を提供しているかが分かる。特に、基本給に相当する所定内給与と、所定外給与や特別給与の割合を比較することで、企業の賃金体系の特徴が浮き彫りになる。
このデータを踏まえると、労働市場における雇用環境の安定性が確認できる一方で、賃金や労働時間の変化が労働者の生活や企業の経営にどのような影響を与えているかについても注視する必要がある。特に、残業時間の減少は、働き方改革の影響を反映している可能性があるが、これが労働者の収入減少につながっていないかを慎重に分析する必要がある。
企業の採用担当者にとっては、このデータは人材確保や労務管理の指針となる重要な情報源である。給与水準や労働時間の傾向を把握することで、競争力のある採用戦略を策定し、労働市場の動向に適応することが求められる。特に、給与水準を競合他社と比較し、適切な報酬体系を設計することが、優秀な人材の確保に直結する。
また、労働時間の短縮が進む中で、企業は生産性の向上を図るために、業務効率化やデジタル技術の活用を進める必要がある。リモートワークやフレックスタイム制の導入、業務の自動化などを通じて、労働時間の削減と生産性の向上を両立させることが、今後の経営戦略の鍵となるだろう。
このような労働市場の変化を背景に、企業は今後も労働環境の改善と人材確保に注力する必要がある。特に、労働者のライフワークバランスを考慮した柔軟な働き方の導入や、給与水準の適正化が、採用競争を勝ち抜くための重要な要素となる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ