2024年8月22日
労務・人事ニュース
令和7年卒業予定者の求人倍率は2.46倍、青森県内企業の採用競争激化
令和7年3月新規高等学校卒業予定者求人・求職状況(令和6年6月末)(青森労働局)
青森労働局による令和7年3月新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況に関する調査結果が報告されました。この調査は、令和6年6月末時点のデータを基にしています。青森県内の求人倍率は2.46倍となり、記録が残っている平成8年3月卒以来、2番目に高い数値を記録しました。求人倍率の高さは、企業が人材確保に積極的である一方、就職希望者数の減少が続いていることを示しています。
まず、就職希望者数についてですが、全体で1,964人と前年同月比で23人の減少が見られました。これは過去最少の数字です。県内での就職を希望する学生は1,407人で前年同期比42人増加していますが、県外就職希望者は557人で前年同期比65人減少しています。これにより、県外志向の減少が浮き彫りとなり、県内での就職を希望する動きが強まっていることが分かります。
一方、県内の求人総数は3,461件で、前年同期比96件の減少が見られました。この結果、県内の求人倍率は2.46倍となり、前年の2.61倍から0.15ポイント低下しています。求人倍率が高水準にあることは、企業側が多くの新卒者を求めていることを示していますが、求人件数が減少していることから、企業側の採用意欲にも若干の変化が見られる可能性があります。
産業別に見ると、宿泊業と飲食サービス業が前年同期比45人増加し、建設業も44人の増加を記録しています。これに対して、製造業では63人の減少が見られ、サービス業(他に分類されないもの)や医療・福祉の分野でもそれぞれ48人、46人の減少が報告されています。これらの変化は、青森県内の産業構造や労働市場の動向を反映しており、特定の産業分野における求人の増減が顕著です。
地域別に見ると、青森労働局管轄内の各地域での求人・求職状況には違いが見られます。例えば、三沢地域では前年同期比で求人が2.7%減少しており、八戸地域でも求人が4.8%減少しています。このような地域差は、地域経済の状況や産業構造に影響を受けていると考えられます。
さらに、職業別のデータでは、専門・技術・管理職や事務職の求人がそれぞれ29人、15人の増加を記録しています。一方で、サービス職や技能工、製造、建築関連の職業では減少傾向が見られます。特に、製造・製作関連の求人は前年同期比で35人減少しており、これは製造業全体の求人減少と関連しています。
これらのデータは、青森県内の新卒者の就職市場における需要と供給のバランスを示すものです。求人倍率が高水準で推移している一方で、就職希望者数が減少していることは、企業側の採用競争が激化している状況を反映しています。このような状況下で、企業は魅力的な労働環境やキャリアパスを提供することで、優秀な人材を確保する必要があります。
また、地域や産業によって求人の増減に差があることは、企業が地域や産業の特性に応じた柔軟な採用戦略をとる必要性を示唆しています。例えば、宿泊業や飲食サービス業などの求人が増加している分野では、労働者の定着率を向上させるための施策が求められます。逆に、求人が減少している製造業やサービス業(他に分類されないもの)などの分野では、業界全体の再構築や労働市場の需要変動に対する迅速な対応が必要とされるでしょう。
企業の採用担当者にとって、これらのデータは今後の採用戦略を練る上で非常に重要な参考材料となります。特に、新卒者の採用においては、地域や業種ごとの求人動向を把握し、自社の求める人材像と市場の動きを照らし合わせることが求められます。さらに、求人倍率が高い状態が続く中で、求職者に選ばれる企業になるためには、給与や福利厚生だけでなく、働きやすさやキャリア形成の支援など、総合的な魅力を高める必要があります。
総じて、青森県内の令和7年3月卒業予定者の求人・求職状況は、企業と求職者の双方にとって厳しい競争環境を示しています。企業側は、採用活動を通じて自社の魅力を発信し、求職者とのマッチングを効果的に進めることが求められます。また、就職希望者数の減少が続く中で、地域の人口減少や若者の県外流出を食い止めるためにも、地域全体での魅力づくりが重要となるでしょう。
⇒ 詳しくは青森労働局のWEBサイトへ