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2025年4月20日

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令和7年2月の三重県の有効求人倍率1.17倍に上昇、企業の採用活動に追い風か

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三重県の宿泊・飲食サービス業の新規求人23.9%減、令和7年2月の実態を分析

令和7年2月における三重県の一般職業紹介状況について、三重労働局が詳細な統計を発表しました。このデータは、地域における雇用動向や労働市場の状況を把握する上で非常に重要な意味を持っています。まず注目すべきは、季節調整済みの有効求人倍率が1.17倍と前月より0.03ポイント上昇し、全国平均の1.24倍に比べてやや低いものの、県内の雇用情勢が改善傾向にあることを示しています。なお、就業地別で見ると有効求人倍率は1.37倍となっており、三重県内での働き口の増加が見られます。

一方で、新規求人倍率については2.01倍であり、前月より0.12ポイント低下しています。これは新規求人数の減少が主な要因で、9,841人と前月比で9.8%、1,070人減少したことが背景にあります。新規求職申込件数も4,898件と、前月比4.2%、217件の減少が見られました。求人数の減少が顕著であることから、短期的には求人活動の鈍化が懸念される状況です。

県全体の雇用情勢を見ると、依然として求人が求職を上回る傾向にはありますが、新規求人の動きに足踏みが感じられ、全体的な改善の勢いにやや陰りが見え始めているのも事実です。特に新規求人の産業別推移を見ると、建設業が前年同月比で7.2%の増加、製造業が4.9%増加と、ものづくり系産業の求人は比較的堅調に推移しています。しかし、宿泊業・飲食サービス業では23.9%、学術研究・専門・技術サービス業では31.0%の減少が見られ、サービス業の一部では明らかな落ち込みが続いています。特に人材確保が難しいとされる福祉分野においても、求人の増加率は1.6%にとどまり、雇用のミスマッチが解消されていない現状がうかがえます。

求職者側の動向を見ても、厳しい現実が浮かび上がります。新規求職申込件数は前年同月比で10.6%減少し、4か月連続のマイナスとなっています。新規常用求職者数も5,124人で10.6%の減少と同様の傾向です。中でも在職者からの求職は17.1%減少、無業者は9.2%減少、離職者は6.7%減少しており、いずれの区分でも求職活動の縮小が確認されます。とりわけ、自己都合離職者の減少が5か月連続で続いていることから、自主的な転職活動が控えられている傾向も見受けられます。

正社員求人の動向に関しても注視が必要です。令和7年2月の正社員有効求人倍率は1.06倍と前年同月を0.06ポイント上回り、全国平均の1.07倍に近い水準に達しています。正社員の有効求人数は14,128人と前年同月よりわずかに減少しましたが、有効求職者数は13,275人で前年同月比5.8%減と大幅な減少となりました。このように、分母である求職者数の減少により倍率が上昇するという構図からも、求職活動の慎重化が影響していることがわかります。

地域別の有効求人倍率を見ると、津市や松阪市では前年同月を上回るなど、一部地域での改善もみられますが、伊賀市においては依然として1倍を下回るなど、地域差が大きいことも明らかになっています。このような格差は、地域ごとの産業構造や企業の採用意欲の違いにも起因しており、今後の地域雇用政策においても課題として注目されるでしょう。

過去のデータと比較しても、三重県の雇用環境は長期的には回復傾向にあるものの、令和5年以降のデータではやや弱含みとなっている傾向も見逃せません。求人数の増加が安定的に続かない一方で、求職者の動きも鈍く、雇用の流動性が高まらない状況が続いています。このような情勢において、企業はより精緻な採用戦略の構築と、求職者とのマッチング精度の向上が求められています。

また、昨今の人材市場では、デジタル人材や福祉・介護系人材など、特定の分野での人手不足が深刻化しており、今回の統計結果にもその傾向が色濃く反映されています。企業側としては、求職者のニーズや行動傾向を踏まえた柔軟な働き方の提示や職場環境の改善を進めるとともに、労働力確保に向けた地域との連携や制度活用も視野に入れる必要があります。

以上のように、令和7年2月の三重県における一般職業紹介のデータは、雇用の現状と今後の展望を的確に捉えるための貴重な材料であり、地域経済の活性化や企業の採用活動の判断材料として大いに活用されるべきです。労働市場が抱える構造的な課題に対し、行政・企業・求職者の三者が協力して取り組むことが、持続可能な雇用の創出に繋がると考えられます。

⇒ 詳しくは三重労働局のWEBサイトへ

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