2025年5月12日
労務・人事ニュース
令和7年3月埼玉県の有効求人倍率1.23倍、売り手市場を勝ち抜く採用戦略とは
エラー内容: Bad Request - この条件での求人検索結果表示数が上限に達しました
埼玉労働市場ニュース(令和7年3月)(埼玉労働局)
令和7年5月2日に発表された埼玉県の一般職業紹介状況によると、令和7年3月における有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍となり、前月より0.02ポイント上昇しました。この結果から、県内における雇用情勢は、引き続き求人が求職を上回る状態を維持していることがわかります。ただし、求人の動きには一部足踏みも見られており、緩やかな持ち直し基調にとどまっているとされています。また、物価上昇など外的要因による影響についても今後注視が必要であるとの指摘がなされています。
有効求人数は105,226人で前月に比べ0.8%減少し、有効求職者数は85,663人で前月比2.3%減少しました。有効求職者数の減少幅の方が大きかったことが、有効求人倍率の上昇につながったと考えられます。新規求人倍率(季節調整値)は2.19倍となり、前月より0.12ポイント低下しました。新規求人数は34,787人で前月比6.0%減少しており、企業側の新たな求人意欲がやや鈍化している様子がうかがえます。
新規求人数の内訳をみると、フルタイム求人は19,623人で前年同月比2.8%減少、パートタイム求人は13,084人で前年同月比6.8%減少しました。全体として新規求人は4.4%減少しており、求人数に対する慎重な姿勢が企業側に見られます。産業別では宿泊業・飲食サービス業、運輸業・郵便業、建設業の3業種で前年同月比増加が見られましたが、情報通信業、生活関連サービス業・娯楽業、卸売業・小売業など8業種では減少しており、特に情報通信業は27.5%、生活関連サービス業・娯楽業は27.2%、卸売業・小売業は13.9%の減少と大幅な落ち込みが目立ちます。
正社員に限った有効求人倍率についてみると、受理地別では0.91倍、就業地別では1.02倍となっており、前年同月よりそれぞれ0.06ポイント上昇しています。これは正社員を希望する求職者に対して、正社員求人が若干増加傾向にあることを示しています。しかしながら、新規求職者のうち正社員希望者の割合は61.4%と前年同月より0.2ポイント上昇している一方で、就職件数のうち正社員就職の割合は31.6%で前年同月比2.4ポイント低下しており、正社員へのマッチングが必ずしも順調とは言えない現状が浮かび上がっています。
求職者動向について見ると、新規求職者数は15,899人で前月比0.6%減少しており、8か月連続の減少傾向が続いています。特に希望雇用形態別では、フルタイム希望者が9,856人で前年同月比1.0%減少、パート希望者が6,159人で前年同月比2.1%減少しており、求職活動全体が慎重化している傾向が明らかです。これらの数値から、景気先行き不安や物価高騰による生活費圧迫などが、求職者の行動に影響を与えている可能性が高いと考えられます。
就職件数は3,764件となり、前月比で15.7%増加したものの、前年同月比では5.3%減少しました。就職率も23.5%で、前年同月比では1.0ポイント低下しています。特に充足率については12.7%と依然として低水準にあり、企業と求職者の間で条件が折り合わないケースが多いことが推察されます。ミスマッチの要因としては、賃金水準、労働条件、勤務地などの不一致が挙げられ、企業側にはより柔軟な対応が求められる局面となっています。
産業別の新規求人状況に注目すると、宿泊業・飲食サービス業では前年同月比12.0%の増加が見られ、観光需要の回復傾向が反映されています。運輸業・郵便業でも1.7%増加しており、物流需要の堅調さが背景にあると考えられます。建設業も1.6%増加しており、建設需要の底堅さが続いています。一方、情報通信業では27.5%の大幅減少となり、特にソフトウェア業の求人減少が目立ちました。生活関連サービス業・娯楽業でも27.2%減少し、美容業界を中心とした求人減少が影響しています。卸売業・小売業では13.9%減少しており、各種食料品小売業などでの求人縮小が顕著でした。
地域別の動向を見ると、大宮、浦和、所沢など都市部では有効求人倍率が高く、特に大宮では1.30倍、浦和では1.24倍、所沢では1.30倍と高水準を維持しています。一方で、東松山、朝霞、飯能では倍率が1倍を下回っており、地域間格差が存在することがわかります。これにより、企業側は勤務地による採用難易度を考慮した柔軟な対応が求められています。
総合的にみて、埼玉県内の令和7年3月の雇用情勢は、引き続き売り手市場が続くものの、求人活動や求職活動ともに慎重な姿勢が見られることが特徴です。企業側は人材確保に向けた戦略をより一層強化し、賃金水準や労働条件の見直し、働き方改革の推進を図る必要があります。一方、求職者側もスキルアップやリスキリングによる市場価値向上が今後ますます重要となるでしょう。
⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ