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2025年3月1日

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令和7年3月適用!設計業務技術者単価が平均49,570円に上昇、前年比5.7%増

令和7年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について ~対前年度比5.7%の引き上げ~(国交省)

令和7年3月より、国土交通省が発注する設計業務委託等の技術者単価が改定されることが決定した。今回の改定により、全職種の単純平均が対前年度比5.7%引き上げられ、平均49,570円となる。この改定は、平成9年度に公表を開始して以来、最高値を記録し、13年連続での引き上げとなる。

設計業務委託等技術者単価は、毎年度実施される給与実態調査の結果を基に決定されており、全国一律の基準として使用される。今年度の調査では、過去に国土交通省発注業務を受注した実績のある企業を対象に実施され、地域や企業規模の分布を反映した形で技術者の給与実態を把握した。

今回の単価改定では、各分野において異なる上昇率が適用されている。設計業務の7職階では平均59,643円となり、前年度比5.2%の増加。一方で、測量業務の5職階では9.3%増の43,520円、航空・船舶関係業務の5職階は3.2%増の44,480円、地質調査業務の3職階は6.2%増の44,633円となる。平成24年度と比較すると、設計業務で55.6%、測量業務で91.9%、航空・船舶関係業務で46.6%、地質調査業務で63.7%の増加が見られる。

直近10年間の技術者単価の上昇率を振り返ると、平成27年度には4.7%の上昇、その後3~4%の増加が続き、令和5年度には5.4%、令和6年度には5.5%と、近年の上昇率はやや加速傾向にある。こうした背景には、技術者の確保難や人件費の高騰、建設業界の人材不足などの要因が挙げられる。

設計業務委託等技術者単価は、基本給相当額、諸手当(役職・資格・通勤・住宅・家族・その他)、賞与相当額、事業主負担額(退職金積立・健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険・児童手当)で構成されている。この単価には、時間外・休日・深夜の労働に対する割増賃金や、通常の作業条件を超えた労働に対する手当は含まれないため、各企業が実際の給与体系を決定する際には、これらを考慮する必要がある。

また、今回の技術者単価改定は、公共事業の設計業務委託等の積算基準として用いられるものであり、外注契約や雇用契約における給与水準を直接規定するものではない。このため、企業側は技術者の待遇向上や採用活動において、今回の改定を参考にしながらも、自社の経営方針や人材戦略に応じた対応が求められる。

各職種別の技術者単価を見ると、設計業務の主任技術者は日額88,600円、理事・技師長は77,500円、主任技師は66,900円、技師(A)は59,600円、技師(B)は48,500円、技師(C)は40,300円、技術員は36,100円となっている。測量業務では、測量主任技師が60,600円、測量技師が52,300円、測量技師補が41,100円、測量助手が34,900円、測量補助員が28,700円。航空・船舶関係業務では、操縦士が56,300円、整備士が43,200円、撮影士が48,200円、撮影助手が36,400円、測量船操縦士が38,300円。地質調査業務では、地質調査技師が56,000円、主任地質調査員が43,800円、地質調査員が34,100円となる。

企業の採用担当者にとって、この技術者単価の改定は、新卒・中途採用の給与設計や、既存の技術者の処遇改善に関する参考データとなる。特に、技術者不足が叫ばれる建設・土木業界では、人材の確保と定着が経営課題となっており、今回の単価引き上げが賃金水準の見直しや待遇改善につながる可能性がある。

これからの技術者採用においては、単なる給与額の提示だけでなく、福利厚生の充実やキャリアアップ支援、働き方の柔軟性といった要素も重要視されるだろう。特に、若手技術者の確保が難しい状況が続く中で、給与の適正な設定とともに、企業文化や働きやすい環境の整備が鍵となる。

企業はこの機会を捉え、国の技術者単価を参考にしつつ、自社の人事戦略を見直すべきである。優秀な技術者を確保し、長期的な成長を目指すためには、単なる賃金上昇にとどまらず、労働環境の改善やスキル向上の支援を含めた包括的な施策が必要となるだろう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ