労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年3月1日より開始、旅客船の安全向上に向けた新認証制度「+ONEマーク」とは?

2025年3月5日

労務・人事ニュース

令和7年3月1日より開始、旅客船の安全向上に向けた新認証制度「+ONEマーク」とは?

+ONEマーク制度の運用を開始します ~利用者に向けた旅客船の安全情報の提供充実~(国交省)

令和7年3月1日より、旅客船の安全性向上を目的とした「+ONEマーク(プラスワンマーク)制度」の運用が開始される。本制度は、遊覧船やクルーズ船、レストラン船などの不定期航路事業者が安全対策に積極的に取り組んでいることを評価・認証し、公表する仕組みである。事業者が任意で申請を行い、法令遵守に加えてさらなる安全性向上への取り組みを実施している場合に認証を受けることができる。これにより、利用者が安全性の高い事業者を選択しやすくなり、旅客船の安全性全体の向上が促進されることが期待されている。

この制度の背景には、令和4年12月22日に知床遊覧船事故対策検討委員会が公表した「旅客船の総合的な安全・安心対策」がある。同委員会は、利用者が事業者の安全対策を簡単に確認できる仕組みを整備し、事業者の安全向上への取り組みを促進することが必要であると提言していた。これを受けて、水産庁は、利用者が安全な旅客船を選択できるようにするための評価・認定制度を導入することを決定した。この「+ONEマーク制度」は、その具体的な取り組みの一環として策定されたものであり、旅客船業界全体の安全対策の強化に寄与するものとされている。

本制度では、安全性の向上に関する評価項目が細かく設定されており、事業者はそれぞれの基準を満たすことで認証を受けることができる。評価基準には、運輸安全マネジメントの実施状況、安全方針や重点施策の計画、安全対策の実施状況、事故防止の取り組み、緊急時対応設備の状況、乗客への安全情報の提供に関する取り組みなどが含まれる。具体的には、事業者は輸送の安全確保に関する基本方針を策定し、従業員に周知するとともに、安全目標とその達成に向けた計画を定め、定期的に見直すことが求められる。また、輸送の安全確保の責任権限を明確にし、事故やヒヤリハット情報を収集・分析し、再発防止策を講じることが重要視される。さらに、事故や自然災害に対応するための手順を定め、定期的に訓練を実施することが求められる。

また、本制度では事業者の安全管理体制の継続的な改善が求められる。輸送の安全に関する内部監査を定期的に実施し、経営トップが安全対策の実施状況を点検することで、安全文化の定着を図ることが重視されている。これにより、事業者が一時的に安全対策を強化するだけでなく、長期的に継続的な改善を行うことが期待されている。

「+ONEマーク制度」には2段階の認証制度が設けられている。第一段階では、事業者が法令上の義務を超える安全対策を実施しているかどうかを評価し、書類審査において「評価点数の合計が60点以上」かつ「各大項目の評価点数がそれぞれの基準点以上」を満たした場合に認証が付与される。第一段階の認定を受けた事業者が更新時に再び基準を満たした場合、第二段階の認証が付与される仕組みとなっている。これにより、事業者が長期的に安全対策を維持・向上させるインセンティブが生まれることが期待されている。

安全対策の具体的な取り組みとして、事業者は海難防止策を強化する必要がある。例えば、航海用レーダーの設置、地域関係者との連携による海難防止訓練の実施、運航管理補助者の資格取得推進などが含まれる。また、緊急時の救命設備として、複数の伝送経路を持つ無線設備の設置、定員分の救命いかだの設置、法定の数量より多くの救命胴衣の配備などが推奨される。さらに、乗客への安全情報提供についても、非常時対応の情報をデジタル機器を通じて提供する仕組みや、バリアフリー基準に基づく運航情報提供設備の整備などが求められる。

本制度は、利用者が旅客船の安全性を簡単に確認できるようにすることで、事業者の安全意識の向上を促し、旅客船の安全性を全体的に引き上げることを目的としている。これにより、旅客船業界全体の安全文化が高まり、利用者が安心して船旅を楽しむことができる環境が整うことが期待される。制度の詳細については、日本海事代理士会のホームページで確認することができる。

今回の「+ONEマーク制度」の導入により、旅客船業界における安全対策の強化が一層進むことが見込まれている。事業者は、安全性向上のための取り組みを積極的に進めることで、利用者からの信頼を得ることができると同時に、業界全体の発展にも寄与することが可能となる。今後、本制度の活用が広がることで、より安全で快適な旅客船サービスの提供が期待される。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ